はじめに:遺言は「家族のため」だけではない
遺言といえば、「財産を家族に分けるもの」と思われがちですが、
実は家族以外の相手に財産を残すこともできるということをご存じでしょうか?
それが「遺贈(いぞう)」です。
中でも近年注目されているのが、NPO法人や大学、自治体などへの“遺贈寄付”。
自分の財産を通じて、
教育・福祉・医療・環境などの社会分野に貢献できるとあって、
40代・50代のうちから“遺言で社会貢献”を視野に入れる人も増えています。
遺贈(いぞう)とは?基本のキホン
遺贈とは、遺言によって財産を特定の人や団体に贈ることを言います。
法定相続人でなくても指定すれば誰でも対象にできます。
遺贈には2つの種類があります:
種類 | 内容 |
---|---|
包括遺贈 | 財産の○分の1、全体の一定割合を遺す |
特定遺贈 | 指定した財産(例:●●銀行の預金、土地など)を遺す |
💡多くの遺贈寄付では「特定遺贈」が使われます。
遺贈寄付とは?どんな団体に寄付できるの?
遺贈寄付とは、自分の死後、遺言を通じて社会的な団体に財産を遺すこと。
寄付先としては以下のような団体が選ばれることが多いです。
よくある寄付先の例:
- NPO法人・公益法人
- 大学・教育機関
- 医療機関・研究団体
- 災害支援団体
- 地方自治体
- 国際協力団体(ユニセフ、国境なき医師団など)
- 動物保護団体・文化保存団体
これにより、自分の信じる理念や支援したいテーマに、
財産というかたちで未来の支援を残すことが可能になります。
なぜ今、遺贈寄付が注目されているのか?
ここ数年、日本でも遺贈寄付が注目されている背景には以下のような理由があります。
- 子どもがいない・相続人がいない人が増えている
- 家族よりも「理念」や「想い」に資産を使ってほしいと考える人が増加
- 社会的な課題(環境、貧困、教育格差など)への関心の高まり
- SDGsやESGなど社会貢献への企業・個人意識の変化
また、団体側も遺贈を受け入れる体制を整えるケースが増え、
インターネットで情報収集もしやすくなってきました。
遺贈寄付を実現するためのステップ
① 寄付したい団体を探す・決める
→ 自分の価値観や関心に合う活動を行っている団体を選びます。
② 団体に事前相談する(重要)
→ 特定の財産を受け取れる体制があるか、遺贈に対する理解があるか確認。
③ 遺言書に「遺贈の内容」を明記する
→ 公正証書遺言で作成するのが安心。
④ 遺言執行者の指定も忘れずに
→ 寄付先と連携できる第三者や専門家が望ましい。
遺贈寄付の注意点
- 遺留分に配慮が必要
→ 法定相続人がいる場合、一定割合の相続権を侵害すると争いの原因に。 - 団体によっては受け取れない財産もある
→ 不動産・未整理の株式などは拒否されることも。現金や預金がスムーズ。 - 相続人との関係性を考慮
→ 家族にとって「なぜ遺贈したのか」を説明しておくことでトラブル回避に。
💡 エンディングノートなどで寄付の理由を添えると、受け取る側の理解も深まります。
遺贈寄付を考える人に伝えたいこと
遺贈寄付は、
単なる「寄付」ではありません。
それは人生の締めくくりに、自分の信念や願いを未来につなぐ選択です。
「お金がたくさんないとできない」と思っている方も多いですが、
数十万円単位でも団体にとっては大きな助けになります。
そして、若いうちに「自分はどんな社会貢献がしたいか」と考えること自体が、
日々の生き方にも前向きな影響を与えるはずです。
おわりに:あなたの想いが、社会を変えるかもしれない
「家族に財産を遺す」だけでなく、
「社会に想いを託す」遺言も、これからの新しい常識。
遺贈寄付を通じて、
あなたの“生きた証”が次の世代の希望になっていく。
そんな未来を、一緒に描いていきませんか?