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遺言書は「亡くなった後」のすべての不安を解消してくれるか?
「遺言書を書いたから、これで自分が死んだ後のことはすべて安心だ」 もしあなたがそう信じているなら、少しだけイメージしてみてください。
あなたが旅立った直後、誰が病院の支払いを済ませますか?
誰があなたの住んでいた部屋を片付け、賃貸契約を解除しますか?
スマートフォンに残されたデータや、SNSのアカウントは誰が削除してくれるのでしょうか?
実は、遺言書は「財産の行方」を決めるための書類であり、こうした「事務的な手続き(身の回りの後始末)」を強制する法的な力はほとんどありません。
遺言書に「葬儀は家族葬で」と書いていても、それは法的拘束力のない「お願い(付言事項)」に過ぎず、相続人がその通りにしなかったとしても罰則はないのです。
そこで今、急速に需要が高まっているのが、遺言書とセットで準備する「死後事務委任契約(しごじむいにんけいやく)」です。
今回は、おひとり様や子供のいないご夫婦にとっての「最強の終活ツール」であるこの契約について、行政書士の視点から解説します。
「遺言書」と「死後事務委任契約」
決定的な違い
まずは、なぜ遺言書だけでは足りないのか、その法的な理由を明確にしましょう。
遺言書が得意なこと(財産承継)
遺言書は、民法で定められた「遺言事項」に該当するもの、つまり「誰にどの財産をあげるか」という点において強力な力を発揮します。
- 不動産の名義変更(2024年4月からの相続登記義務化への対応)
- 預貯金の払い戻しと分配
- 株式や有価証券の承継
死後事務委任契約が得意なこと(事務手続き)
一方、死後事務委任契約は、亡くなった直後から発生する「作業」を引き受けるための契約です。
- 病院や施設への支払い
- 葬儀、火葬、納骨の手配
- 賃貸住宅の解約、遺品整理
- 公共料金やクレジットカードの解約
- 役所への死亡届、健康保険の返却
遺言書が「お金と土地」の話なら、死後事務委任契約は「体と生活」の後始末の話だと言えます。
死後事務委任契約が必要な
「4つのケース」
2025年現在、日本は「超ソロ社会」へと突入しています。
以下に該当する方は、遺言書と併せてこの契約を検討すべきです。
子供がいない
または親族と疎遠「おひとり様」
頼れる親族がいない場合、あなたが亡くなった後に誰が役所に届け出をし、遺体を安置するのでしょうか。
自治体が行うのはあくまで「最低限の火葬」であり、あなたの希望する供養や遺品の整理まではしてくれません。
子供が遠方に住んでいる
または高齢の「老老介護」世帯
子供が海外や遠方に住んでいる場合、急な逝去に対応するのは物理的に困難です。
また、配偶者が高齢で認知症を患っている場合、悲しむ暇もなく複雑な事務手続きをこなすのは不可能です。
プロが死後事務を引き受けることで、家族の負担を劇的に減らすことができます。
婚姻届を出していない
「事実婚」のカップル
事実婚(内縁関係)の場合、パートナーには法的な相続権がなく、親族でもないため、病院や役所での手続きを拒否されるケースがあります。
契約を結んでおくことで、パートナーが正当な権限を持ってあなたの後始末を行えるようになります。
ペットを飼っている方
「自分が死んだ後、ペットの世話を誰に頼み、今の部屋をいつまでに引き払うか」。
これは動物愛護の観点からも重要です。
死後事務委任契約に「ペットの譲渡と飼育費用の支払い」を盛り込むことで、愛する家族の命を守ることができます。
死後事務委任契約で委託できる
「具体的な内容」
行政書士が実務で受任する際、どのような項目を盛り込むのか、詳細を見ていきましょう。
葬儀・供養に関する手続き
- 通夜、告別式の形式(家族葬、直葬、自由葬など)
- 埋葬、納骨の方法(先祖代々の墓、樹木葬、散骨など)
- 永代供養の申し込みと支払い
- 死亡通知を送るべき知人のリストアップと連絡
住まいと家財の整理(遺品整理)
- 賃貸住宅の明け渡し、原状回復の立ち会い
- 残置物(家具、家電、衣類など)の廃棄または寄付
- 貴重品(思い出の品、写真など)の特定人物への配送
- 相続登記義務化に伴う、不動産の売却準備や管理の委託
債務の支払いと契約の解約
- 医療費、介護施設利用料、葬儀費用の精算
- 電気、ガス、水道、NHK、新聞等の解約
- 携帯電話、インターネットプロバイダーの解約
- クレジットカードの失効手続き、年会費発生の停止
最近の重要課題「デジタル遺産」の整理
スマートフォンのパスロック解除、SNS(Facebook, Instagram等)の追悼アカウント設定または削除、サブスクリプション(Netflix, Amazon等)の解約。
これらは今や、最も手間のかかる死後事務の一つです。

法的効力と実務上の注意点
死後事務委任契約を確実に実行するためには、以下の点に注意が必要です。
委任契約は「本人の死亡」
で終了するのが原則だが……
民法の原則では、委任契約は本人が亡くなった瞬間に終了します。
しかし、これでは死後の事務ができません。
そのため、契約書の中に「本人の死亡によっても本契約は終了しない」という特約を設けます。
これにより、死後の法的権限を確保します。
予託金(よたくきん)の管理
死後事務には、葬儀費用や遺品整理費用など、まとまったお金が必要です。
受任者(行政書士など)に事前にお金を預けておく「予託金」の仕組みをとることが一般的です。
このお金を安全に管理するため、専用の信託口座などを活用し、透明性を高める必要があります。
遺言執行者との「棲み分け」
前回の記事で解説した「遺言執行者」と、死後事務委任契約の「受任者」は、同じ人物(例えば同じ行政書士)が担当するのが最もスムーズです。
財産を分ける権限と、事務を行う権限を一つの窓口に集約することで、手続きの漏れや無駄な費用を防ぐことができます。
行政書士が「死後事務」を
引き受けるメリット
行政書士は、書類作成のプロであると同時に、行政手続きのスペシャリストです。
役所手続きの確実な遂行
死亡届の提出から、未支給年金の請求、健康保険・介護保険の還付手続きまで、行政書士はこれらを日常的に扱っています。
漏れのない手続きによって、「受け取れるはずのお金」を逃さず、かつ期限内にすべての事務を完了させます。
遺言・任意後見・死後事務の
「黄金の三点セット」
当事務所では、以下の3つを組み合わせることを推奨しています。
- 任意後見契約
認知症になった時の「生前」のサポート - 遺言書
亡くなった時の「財産」の行方 - 死後事務委任契約
亡くなった後の「身の回り」の後始末
この三点セットを備えることで、老後から死後、そしてその先の供養に至るまで、一本の線でつながった安心を提供できます。
費用と契約の流れ
死後事務委任契約を結ぶ際の一般的なステップと費用感について解説します。
契約までのステップ
- ヒアリング
どのような葬儀を望むか、解約すべき契約は何かを精査します。 - 見積もり
事務内容に応じた報酬と、預かる実費(葬儀代等)を算出します。 - 契約書作成
後日の紛争を防ぐため、公正証書での作成がおすすめです。 - 契約発効
亡くなった直後、受任者が速やかに業務を開始します。
費用の目安
行政書士への報酬は、事務の内容によりますが、一般的には20万円〜50万円程度が相場です(実費別)。
これに加え、葬儀代や遺品整理代などの実費分を事前に預かることになります。
よくある質問(FAQ)
死後事務委任契約は
「最後のリスク管理」である
遺言書が「愛する人へのプレゼント」なら、死後事務委任契約は「周囲へのマナー」と言えるかもしれません。
あなたが亡くなった後の混乱を最小限に抑え、自分の望む形で人生の幕を引くために、この契約は欠かせないものです。
- 遺言書は財産(お金・土地)の行方を決めるもので、死後の事務作業には強制力がない。
- 死後事務委任契約は、葬儀、遺品整理、役所手続き、デジタル遺産整理などを代行してもらう契約。
- 特におひとり様や、親族が遠方にいる方、事実婚のカップルにとって必須の対策である。
- 2025年のデジタル社会において、スマホやSNSの解約手続きはプロに任せるのが最も確実。
- 契約は、法的信頼性の高い公正証書で作成し、遺言執行者の指定とセットにするのがベスト。
- 行政書士をパートナーに選ぶことで、複雑な行政手続きをワンストップで、中立公平に遂行できる。
「自分が死んだ後のことは、なるようになる」と考えるのも一つの生き方かもしれません。
しかし、もしあなたに「人には言えないこだわり」や、「特定の人に迷惑をかけたくない」という思いがあるのなら、生前にしっかりとした「出口戦略」を立てておくべきです。
死後事務委任契約を結ぶことは、今をより軽やかに、安心して生きるための第一歩です。
「誰に、何を、どこまで頼めばいいのか」。
その正解は、一人ひとり異なります。
私たちは、あなたのこれまでの人生と、これからの願いに寄り添い、世界に一つだけのオーダーメイドな安心を形にします。
あなたの「最後」が、あなたらしい輝きに満ちたものになるよう、私たちが全力でサポートさせていただきます。

