建設業許可を取得するためには、単に「建設業をやりたい」と願うだけでは足りません。
法律で定められた7つの要件をすべて満たしている必要があります。
この記事では、東京都の建設業許可申請の方法に基づき、初めて申請する方でもわかりやすく、実例を交えて解説します。
例としては、内装工事を行う「内装仕上工事業」のケースを用いてご説明します。
建設業許可を取得するための7つの要件
① 経営業務の管理責任者がいること
まず必要なのが「経営業務の管理責任者等」が存在することです。
これは、会社を経営した経験がある人物が役員や支配人などに就任しているかどうかを確認するものです。
▼ たとえば…
「内装仕上工事業」で建設業許可を取得する場合:
- 法人役員として内装工事業を5年以上経営した経験
- 個人事業主として5年以上内装工事を経営した経験
- 上記経営者を7年以上補佐した経験がある者(条件付きで可)
これらの経験は、登記簿謄本、確定申告書、契約書類などの証拠書類で証明します。
「経管」になれるかどうかは、最初のチェックポイントです。
② 専任技術者が営業所に常勤していること
次に必要なのは「専任技術者」です。
これは、実際に工事の技術を管理できるスキルや経験を持つ人です。
営業所ごとに常勤で1人以上配置する必要があります。
▼ たとえば…
内装仕上工事業の専任技術者として認められる例:
資格・経験 | 条件 |
---|---|
1級または2級建築施工管理技士(仕上げ) | 国家資格証の写し提出が必要 |
大学で建築系学科卒+実務3年以上 | 卒業証明書+実務証明書 |
実務経験10年以上(内装工事に限る) | 契約書、請求書、写真などで証明可能 |
資格がない場合でも、10年以上の実務経験があれば申請は可能です。
その際は、内装工事の実績を裏付ける資料を十分に揃える必要があります。
③ 誠実性があること
これは「過去に建設業法違反や重大な契約違反がないこと」を確認するものです。
つまり、「真面目に事業をやってきたか」が問われます。
▼ 注意が必要な例:
- 無許可で500万円を超える内装工事を請け負っていた
- 労働基準法違反、安全配慮義務違反があった
- 契約書を交わさずトラブルを繰り返していた
過去の不正行為や法令違反があると、許可が却下されるか、条件付きで許可される場合もあります。
④ 財産的基礎・金銭的信用があること
建設業では、工事開始前に材料費や人件費などの先行投資が必要となるため、ある程度の資金力が求められます。
▼ 一般建設業の要件:
- 自己資本が500万円以上あること
- もしくは、直前5年以内に許可を受けて継続して建設業を営んでいたこと
証明方法の一例:
- 銀行残高証明書(法人名義)
- 決算書の貸借対照表(直近)
- 税務署提出済みの確定申告書
たとえば、内装仕上工事業を新規に申請する場合、残高証明で500万円以上あることを示すのが一般的です。
⑤ 欠格要件に該当しないこと
最後の要件は「欠格要件に当てはまらないこと」。
これは、役員や主要関係者に反社会的勢力や前科がないか、法律違反がないかなどを確認する項目です。
▼ 欠格要件の具体例:
- 禁錮以上の刑に処され、5年以内に復権していない人
- 暴力団関係者
- 社会保険(健康・年金・雇用保険)に未加入の法人または5人以上の個人事業主
- 建設業法違反で許可取消処分を受けた人が役員にいる場合
最近では、「社会保険の未加入」がとくに厳しくチェックされるようになっています。
保険加入証明書類の提出を求められるケースもあるため、あらかじめ整備しておくことが重要です。
⑥ 適切な事務所を構えていること
「事務所」とは、単なる倉庫や自宅の一角ではなく、建設業の営業拠点として機能する場所を指します。
条件例:
- 固定電話や事務机、書庫などが設置されている
- 見積・契約・請求業務を行える環境
- 他の企業と完全に間仕切りされている(シェアオフィスの場合は注意)
東京都では、事務所の写真提出が求められるため、外観・内観・設備の様子を撮影します。
⑦ 社会保険に加入していること
法人(常時従業員が1人でもいれば強制加入)と、常時使用する従業員が5人以上いる個人事業主は、
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
への加入が義務です。
社会保険未加入は欠格要件にも関連し、許可取得後の更新や公共工事の受注にも影響します。
申請時には適用事業所通知書や保険料領収証書の提出が求められます。
よくある質問(FAQ)
まとめ:要件を1つずつ確認することが許可への第一歩
まとめ:7つの要件を満たすことが許可取得の第一歩
東京都で建設業許可を取得するには、以下の7つをすべて満たす必要があります。
- 経営業務の管理責任者がいる
- 専任技術者が常勤している
- 誠実性がある
- 財産的基礎がある
- 欠格要件に該当しない
- 適切な事務所を構えている
- 社会保険に加入している
内装仕上工事業など特定の業種では、実務経験や資格の内容が許可業種と一致しているかが重要です。
迷った場合は、行政書士など専門家に早めに相談することをおすすめします。