専任技術者(専技)の壁を越える!建設業許可を支える「技術の柱」の3大要件と東京都の厳格な証明戦略

※本ページはプロモーションが含まれています。

目次

専任技術者:技術的信頼性を担保する会社の「柱」

建設業許可を取得するためには、「経営業務の管理責任者(常勤役員等)」が企業の経営面の信頼性を担保するのに対し、「専任技術者(専技)」は技術面の信頼性を担保する、言わば会社の「技術の柱」となる存在です。

専任技術者の配置は、建設業法第7条および第15条で義務付けられており、営業所ごとに常勤していなければなりません。

この要件を満たせない場合、他の要件がすべて揃っていても許可は取得できません。

この記事では、東京都が定める最新の手引に基づき、専任技術者となるための3つの主要な要件ルート、特に証明が難しい「実務経験」の定義と具体的な証明戦略、さらには特定建設業との違いまで、許可申請の成功に必要な知識を徹底的に深掘りします。

専任技術者の役割と
「常勤性」の絶対条件

専任技術者は、許可を取得しようとする建設業種について、適正な技術力を有し、その技術力を営業所の核として提供することが求められます。

専技の2つの役割
契約時の判断と営業所への常駐

専任技術者の役割は、主に以下の2点に集約されます。

  1. 契約内容の技術的判断
    請負契約を締結する際、その工事が適正な内容であるか、技術的な実現可能性、資材や人員の配置を判断し、契約を技術面から支えること。
  2. 営業所への常勤
    その営業所に専ら常駐し、顧客や他の技術者からの質問にいつでも対応できる状態にあること。

常勤性の証明方法
健康保険証の重要性(東京都運用)

専任技術者は、原則として他のいかなる職務も兼任できません

この「専任」と「常勤」を証明することが、東京都では特に厳しくチェックされます。

  • 常勤性の客観的証明
    申請法人または個人事業主に、健康保険や厚生年金保険の被保険者として加入していることが必須です。
    被保険者証の会社名が申請者名と一致することが、「専任」(その会社に専ら勤務している)であることの強力な証拠となります。
  • 兼任の原則禁止
    他の営業所の専任技術者や、他の企業の役員・社員を兼任している場合、「常勤専任」とは認められません。

建設業許可「専技」となるための
3つの王道ルート

専任技術者となる資格・経験の要件は、大きく3つのルートに分けられ、いずれか一つを満たすことで要件クリアとなります。

≪ルート1(イ)≫
国家資格によるスムーズな証明

国土交通大臣が定める国家資格を保有している場合、実務経験を別途証明する必要がなく、最も迅速に要件をクリアできます。

スクロールできます
建設業種(例:内装仕上工事業)必要な資格(例)証明に必要なもの
一式工事1級建築施工管理技士、1級建築士資格者証の写し
専門工事2級建築施工管理技士(仕上げ)、2級建築士資格者証の写し

特定建設業の場合は、原則として1級の資格(一級建築士、1級施工管理技士など)の保有が必須となります。

≪ルート2(ロ)≫
学歴と3〜5年の実務経験

資格がない場合でも、建設業に関する「指定学科」を卒業し、一定期間の実務経験があれば認められます。

最終学歴指定学科卒業後の実務経験
大学・高等専門学校3年以上
高等学校・専修学校5年以上

≪指定学科の注意点≫
卒業した学科名と、取得したい建設業種との関連性が厳しく問われます。
例えば、内装仕上工事業であれば、「建築科」「住居科」などが該当し、都庁の手引きに記載された指定学科に該当することの証明(卒業証明書など)が必要です。

≪ルート3(ハ)≫
実務経験のみ(10年間)の証明

資格も指定学科の学歴もない場合でも、許可を受けようとする建設業種について10年以上の実務経験があれば専任技術者として認められます。

  • 実務経験の定義
    建設工事の施工に関する技術上の全ての職務経験を指し、現場での監督や補助作業も含まれますが、単なる事務作業や運搬作業は含まれません。
  • 証明の難しさ
    10年間の実務経験を連続性と客観性をもって証明する必要があり、このルートが最も書類準備の負担が大きいとされます。

【特定建設業】
「指導監督的経験」という最難関の壁

元請けとして5,000万円以上の工事を下請けに出す場合に必要となる「特定建設業許可」では、専任技術者にさらに高度な要件が課されます。

一般建設業と特定建設業の専技要件の違い

スクロールできます
要件項目一般建設業専任技術者特定建設業専任技術者
資格1級・2級の資格等原則1級資格が必須
実務経験10年(一般)10年+指導監督的実務経験2年

特定専技に求められる「指導監督的実務経験」とは

特定建設業の専任技術者は、上記の要件に加え、「指導監督的な実務経験を2年以上有すること」が求められます。

  • 定義
    その工事の主任技術者または管理技術者として、下請の指導監督を含む、工事全体の施工を管理した経験を指します。
  • 証明の厳格性
    特定建設業許可の申請では、この指導監督的実務経験があったとされる工事の契約書や工事台帳、現場写真などを提出し、その実態を詳細に証明する必要があります。

東京都が求める「実務経験」
厳格な証明戦略

資格や学歴がない事業者が「10年実務経験ルート」や「特定建設業ルート」で申請する場合、実務経験の証明書類が審査の成否を分けます。

東京都は、空白期間や業種との不一致に極めて厳格です。

経験の連続性を証明する「工事書類」準備

都庁の手引に基づき、申請する業種の経験期間(10年間)を連続して証明するために、以下の客観的な書類を年度ごとに揃える必要があります。

  1. 工事請負契約書
    建設工事を請け負ったことを証明する最も重要な書類。
  2. 注文書・請書
    発注内容と請け負った事実を裏付ける。
  3. 請求書+入金記録
    工事が完了し、対価の支払いがあったことを証明する客観的な証拠(通帳の写しや振込記録)。
  4. 工事台帳・施工写真・日報
    どのような工事に、いつ、どれくらいの期間従事したかを詳細に示す内部資料。

不許可になりやすい「実務経験」落とし穴

10年実務経験の証明で不許可になる最も一般的なケースは、以下の通りです。

  • 書類の空白期間
    契約書や請求書がない期間が長く、経験の連続性が証明できない。
  • 業種間の不一致
    申請したい業種(例:内装仕上)と、経験した工事内容(例:土木工事)が認められる範囲で一致しない。
  • 経験内容の曖昧さ
    「手伝いをしていた」だけでは認められず、技術的な職務に関わっていたことを明確に示す必要がある。

専任技術者の要件は、申請する業種によって細かく規定が異なります。

単に書類を並べるのではなく、技術者一人ひとりの経歴と実績を、建設業法の規定に沿って「物語」として証明することが、専門家に求められる最重要な業務です。

この記事のまとめ

専任技術者は、建設業許可における技術的な信頼性を担保する根幹であり、常勤性技術的適格性の2つが揃って初めて要件を満たします。

要件クリアには、資格、学歴、または10年の実務経験のいずれかのルートを選択し、その証明を東京都の厳格な審査基準に合わせて準備することが必要です。

  • 専任技術者は、営業所への常勤が絶対条件であり、健康保険証の所属先が申請法人であることなどが客観的な証明となります。
  • 専技となるルートは、国家資格の保有指定学科卒業+実務経験10年間の実務経験のみの3つがあり、資格保有ルートが最も迅速です。
  • 10年実務経験ルートを選択する場合、契約書、請求書、入金記録など、客観的な証拠で経験の連続性建設工事への関与を詳細に証明する必要があります。
  • 特定建設業の専任技術者は、原則として1級の資格が必要であり、さらに2年以上の指導監督的実務経験を証明しなければなりません。
  • 専任技術者の要件は、業種や申請者の経歴によって個別性が高く、不許可リスクを避けるためにも、申請前の専門家による経歴診断と書類整備が不可欠です。

専任技術者の要件を確実に満たすことは、企業が技術力とコンプライアンスを兼ね備えていることを証明し、結果として顧客や取引先からの信頼を高め、より大規模な事業展開へと繋がる重要なステップとなるのです。

💡ご相談は下記からお気軽にお問い合わせください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次