目次
【はじめに】
遺産分割協議がまとまったら、次に必要なのが「遺産分割協議書」の作成です。
この書類は、相続手続きのあらゆる場面で必要になる法的に重要な文書。
たとえば…
- 銀行で相続預金の払戻しをする
- 不動産の名義変更(相続登記)をする
- 自動車の名義変更をする
こういった手続きの際に協議書の提出を求められます。
本記事では、遺産分割協議書の基本的な書き方、必要な記載項目、作成時の注意点を行政書士の立場から解説します。
【1】遺産分割協議書とは?
遺産分割協議書とは、相続人全員で話し合って決めた遺産の分け方を記録する書面です。
主に以下の目的で使われます:
- 遺産の分割内容を明確にする
- 相続人全員の合意を証明する
- 金融機関や法務局での手続きに使う
✅ポイント: 形式は自由ですが、実印での押印と印鑑証明書の添付が求められます。
【2】遺産分割協議書に記載すべき項目
以下が一般的な記載項目です。
✅① 被相続人の情報
- 氏名、生年月日、死亡日、本籍地など
- 例:「被相続人 山田太郎(昭和20年1月1日生、令和5年1月1日死亡、本籍 東京都新宿区…)」
✅② 相続人の情報
- 氏名、住所、生年月日
- 法定相続人であることを戸籍で確認済みである旨も明記するのが通例
✅③ 相続財産の内容
- 預金:○○銀行××支店 普通預金 口座番号1234567
- 不動産:登記簿に基づいた正確な表示(地番・家屋番号など)
- その他:株式、自動車(車台番号など)
✅④ 各相続人が取得する内容
- 相続人Aが不動産を取得、相続人Bが預金を取得 など具体的に明記
- 曖昧な表現は後日の争いの火種になります
✅⑤ 最終条項
- 「本協議により、他に相続に関する一切の異議がないことを確認する」旨を記載
✅⑥ 相続人全員の署名・実印押印
- 誰か1人でも署名・押印がなければ無効となります
- 実印であること、印鑑証明書の添付も必要です(通常は3か月以内のもの)
【3】遺産分割協議書の形式と作成方法
▶ 手書きでもWordでもOK
- 法的にはどちらでも有効
- 誤字・脱字があると金融機関で受理されないこともあるため、Word+丁寧な確認がおすすめ
▶ 原本は何通作成すべき?
- 原則として相続人の人数分+提出先ごとのコピーを準備
- 金融機関、法務局、陸運局など、提出先により必要部数は異なります
【4】行政書士がサポートできること
行政書士は、遺産分割協議書の作成に関して以下の支援が可能です:
- 正確な法的表現に基づく協議書の作成
- 戸籍収集・相続関係説明図の作成
- 印鑑証明書や書類添付の案内
- 銀行や不動産名義変更を見越した形式での文案調整
✍️ 相続人間の合意ができていれば、行政書士に依頼することで効率よく確実な書類作成が可能です。
【5】注意点と失敗例
失敗例 | 原因 | 解決策 |
---|---|---|
財産内容の記載が曖昧 | 不動産の地番・預金口座の記載ミス | 登記簿・通帳に基づいて正確に記載 |
相続人の一部が押印していない | 協議書は全員の合意が前提 | 押印・印鑑証明書の取得を事前に確認 |
法的要件を満たしていない | 独自形式で作成した | 専門家の文案チェックを活用する |
書類を1通しか作らなかった | 提出先で原本提出を求められた | 相続人人数+提出先分の原本・コピーを用意 |
【まとめ】
- 遺産分割協議書は、相続の確定内容を証明する重要文書
- 被相続人・相続人・財産・分割内容を明確に記載する必要あり
- 実印・印鑑証明書の添付が基本要件
- 不備があると相続手続きに支障をきたす可能性大
- 行政書士を活用すれば法的に有効な書面をスムーズに整備できる