公正証書遺言 vs 自筆証書遺言、結局どっちが得?最新の費用・リスク・手間を徹底比較

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「タダより高いものはない」は遺言書にも当てはまる?

「遺言書なんて、紙とペンがあれば自分で書ける。わざわざ公証役場にお金を払うのはもったいない」

そう考える方は少なくありません。確かに、自筆証書遺言(自分で書く遺言)は、最も手軽でコストのかからない方法です。

しかし、いざ相続が発生したとき、その一通の紙が原因で家族が泥沼の争いに発展したり、結局法的に無効となって数倍の費用がかかったりするケースが後を絶ちません。

2024年4月の相続登記義務化により、不動産の名義変更を「速やかに、かつ確実に行う」ことの重要性がこれまで以上に高まりました。

遺言書は、形式不備が一つあるだけで、その役割を全く果たせなくなる非常にデリケートな書類です。

今回は、行政書士の視点から、自筆証書遺言と公正証書遺言の「本当のコスト」を算出します。

法務局の保管制度を利用した場合のメリットや、2025年現在の最新法令に基づいた選び方の基準を解説します。

自筆証書遺言は、2020年の民法改正以降、利便性が大きく向上しました。

改正法で緩和された作成ルール

かつては全文を自筆しなければなりませんでしたが、現在は「財産目録」の部分についてはパソコンで作成したり、通帳のコピーを添付したりすることが認められています。

これにより、多くの財産を持つ方でも作成のハードルが下がりました。

目に見えるコストは「0円」から

自分で紙に書き、自宅の金庫などに保管しておけば、作成時のコストは実質ゼロです。

この「安さ」こそが最大の魅力ですが、そこには「検認(けんにん)」という、死後の大きなハードルが隠されています。

自宅保管のリスクと「検認」の負担

法務局に預けない自筆証書遺言の場合、死後に家庭裁判所で「検認」という手続きを受けなければなりません。

  • 手間と時間
    相続人全員に通知が行き、裁判所に集合する必要があります。
    数ヶ月の時間がかかることも珍しくありません。
  • 費用の発生
    検認のための戸籍収集費用や、弁護士・司法書士等への依頼費用が発生し、結局、公正証書遺言よりも高額になるケースがあります。

2020年から始まったこの制度により、自筆証書遺言の弱点が一部克服されました。

保管制度を利用するメリット

  • 検認が不要
    法務局に保管された遺言書は、家庭裁判所での検認手続きが免除されます。
    死後、すぐに名義変更手続きに入れます。
  • 紛失・改ざんの防止
    国家機関である法務局が原本を保管するため、シュレッダーにかけられたり、内容を書き換えられたりする心配がありません。
  • 死亡通知機能
    遺言者が亡くなった際、法務局が指定された受取人に通知を送ってくれるサービスがあります。

保管制度のコスト(2025年現在)

保管手数料は3,900円です。

この金額で「紛失リスク」と「検認の手間」を解消できるのは、非常にコストパフォーマンスが高いと言えます。

公正証書遺言は、公証役場で公証人(元裁判官や検察官などの法律のプロ)が作成する遺言書です。

公正証書遺言の圧倒的なメリット

  • 形式不備による無効がない
    プロが作成するため、法律上の形式ミスで無効になることはまずありません。
  • 原本が公証役場に保管される
    震災や火災でも、データと原本が守られます。
  • 即座に執行可能
    死後、検認なしにすぐ銀行や法務局で手続きができます。
  • 判断能力の証明
    公証人が本人と面談して作成するため、後から「認知症で書けるはずがない」といった無効主張を退ける強力な証拠になります。

公証人手数料の目安
(日本公証人連合会の規定)

手数料は「財産の額」に応じて決まります。
(税務的な計算ではなく、あくまで手数料規定に基づきます)

  • 500万円以下:11,000円
  • 1,000万円以下:17,000円
  • 3,000万円以下:23,000円
  • 5,000万円以下:29,000円

※相続人ごとに加算される仕組みがあるため、実際にはこれに数万円が加わります。

一見高く見えますが、死後のトラブル防止費用と考えれば、「最も安い保険」とも言えます。

2024年4月から始まった相続登記の義務化は、遺言書選びに大きな影響を与えています。

「3年以内」の期限を守れるか

不動産の相続を知ってから3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料(罰則)の対象となります。

自筆証書遺言で「検認」に手間取ったり、内容の不備で法務局に受理されなかったりしている間に、この3年の期限はあっという間に近づいてきます。

単独申請の確実性

公正証書遺言であれば、不動産の特定が正確になされているため、後継者が単独で迷わず、かつ迅速に登記申請を行うことができます。

このスピード感こそが、現代の相続において最も重視されるべきポイントです。

作成時の費用だけでなく、死後の手続きまで含めたトータルコストを比較してみましょう。

スクロールできます
比較項目自筆証書遺言(自宅保管)自筆(法務局保管)公正証書遺言
作成時費用0円3,900円数万円~(財産額による)
証人の必要性不要不要2名必要(実費あり)
死後の検認必要(数ヶ月かかる)不要不要
執行のスピード遅い早い最も早い
紛争回避力低い中程度極めて高い
トータルコスト実は高くなるリスク大バランスが良い価値に見合った投資

私たちは、単に書類を作るだけでなく、あなたの状況に合わせた最適なプランを提示します。

≪ケースA≫
財産がシンプルで、まずは意思を残したい

法務局の「遺言書保管制度」を活用した自筆証書遺言を推奨します。

行政書士が文案を作成し、法務局での予約や手続きのアドバイスを行うことで、低コストながら確実性の高い遺言書が完成します。

≪ケースB≫
不動産、株式、事業用資産がある

迷わず「公正証書遺言」を推奨します。

特に経営者の方は、死後に数ヶ月も資産が凍結される(検認を待つ)ことは、事業の破滅を意味します。

公証人、司法書士、そして行政書士が連携して作成する「鉄壁の遺言書」こそが、事業承継の鍵となります。

≪ケースC≫
親族間に不穏な空気がある

これも公正証書遺言一択です。

公証人という公的な第三者が関与している事実は、不満を持つ相続人に対する強力な抑止力になります。

遺言書作成において、ありがちで残念な失敗例を紹介します。

≪事例1≫
住所を書いてしまった自筆証書遺言

「自宅(〇〇市〇丁目〇番)」と書いた自筆遺言。

しかし、登記上の表記(地番)と異なっていたため、法務局で名義変更を拒否されました。

結局、相続人全員の判子が必要になり、遺言書を書いた意味がなくなってしまいました。

≪事例2≫
証人が見つからない公正証書遺言

「自分で公証役場に行ったけれど、証人2人を用意できずに断念した」というケースです。

行政書士にご依頼いただければ、守秘義務のあるプロが証人を務めるため、プライバシーを守りつつスムーズに作成できます。

公正証書遺言を作った後で、内容を変えたくなったらどうすればいいですか?

新しい遺言書を作成すれば、日付の新しいものが優先されます。
再度公正証書にするのが最も確実ですが、部分的な変更であれば自筆証書で行うことも法律上は可能です。
ただし、混乱を避けるために専門家への相談を推奨します。

公証役場へ行くのが大変な高齢者の場合は?

公証人が自宅や病院、介護施設まで出張してくれる制度があります。
行政書士がその調整を行い、当日は私たちも立ち会うことで、ご本人に負担をかけずに作成することが可能です。

自筆証書遺言にビデオメッセージを添えるのは有効ですか?

ビデオは「付言事項(メッセージ)」としての価値は非常に高いですが、法律上の「遺言書」としての効力はありません。
必ず、法的な要件を満たした書面とセットにする必要があります。

遺言書を作成する目的は、お金を節約することではなく、あなたの死後に家族が困らないようにすることのはずです。

  • 自筆証書遺言は作成コストは低いが、死後の「検認」に時間と費用がかかるリスクがある。
  • 法務局の保管制度を利用すれば、自筆でも紛失リスクがなく、検認も不要になる。
  • 公正証書遺言は作成費用がかかるが、形式不備による無効がなく、相続登記義務化への対応も最も迅速。
  • 財産が多岐にわたる場合や、親族間の紛争が予想される場合は、公正証書が唯一の選択肢。
  • 2024年からの法改正により、遺言書の「正確性」と「手続きの速さ」の価値が劇的に高まった。
  • 行政書士は、予算と目的に合わせて、「自筆+法務局保管」か「公正証書」かの最適な判断をサポートする。

どの形式が「得」なのかは、あなたの財産状況や家族構成、そして「何を一番に守りたいか」によって変わります。

目先の数万円を惜しんだために、数千万円の資産が凍結され、家族が一生の不仲になるのは、あまりにも悲しいことです。

私たちは、あなたの想いを最も確実に届けるための「最適解」を一緒に考えます。

まずは、あなたの家族構成と、今感じている不安を聴かせてください。そこから、最適な遺言の形が見えてくるはずです。

あなたの決断が、大切な家族の平穏な未来を創ります。その大切な第一歩を、私たちが全力で支えます。

本記事は2025年現在の法令に基づき作成されています。
個別の案件については、必ず当事務所またはお近くの専門家にご相談ください。

ご相談は初回無料!お気軽にお問い合わせください。

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