こんにちは。中野区のかとう行政書士事務所です。
今回のテーマは、「内定辞退防止」に直結する内定後のフォロー施策について。
中小企業の採用支援を行う中で、よくあるご相談の一つが「内定辞退が多くて困っている」「せっかく採用できたのに、入社までに辞退されてしまった」というものです。
この問題の根本には、「内定=採用完了」と捉えてしまう構造があります。
しかし実際には、採用活動のゴールは“入社”であり、“定着”です。
「内定後〜入社までの期間」は、企業と求職者の関係が一番“曖昧”になりやすく、それゆえに、対応次第で心が離れてしまう非常に重要なフェーズなのです。
■ なぜ中小企業では「内定辞退」が起きやすいのか?
大手企業に比べ、中小企業では以下のような要因が辞退につながりやすいです。
- 他社に比べて条件・知名度で見劣りする
- 企業との接点が限られ、温度感を持ちづらい
- 選考過程が短く、信頼関係が十分に築けていない
- 辞退されたときのダメージが大きく、精神的にも引きずりやすい
特に最近では、複数社から内定を得て「選ぶ側」に立つ求職者も増えています。
そんな中で、少しでも印象の良い企業に流れてしまうのは当然の流れ。
だからこそ、内定を出した後の「フォローアップ」が不可欠なのです。
■ 内定後フォローは“営業活動”と同じ
少し視点を変えてみましょう。
営業の世界では、「成約後のフォロー」が次のリピートや紹介につながるとよく言われます。
採用活動でも同様に、「内定=契約書にサインしただけ」の状態。
本当に大事なのはそのあと、“気持ち”を維持・高める関わりです。
この段階で「放置」されてしまうと、内定者は急激に不安になります。
- 「本当に自分でよかったのかな?」
- 「入社してからブラックだったらどうしよう」
- 「他の会社の方が、自分を大切にしてくれそう…」
こうした不安に答えていくための仕掛けが、内定後フォローなのです。
■ 中小企業でも実践できる!内定後フォロー施策 5選(+α)
ここでは、コストをかけずとも実行できる、実践的なフォロー施策をご紹介します。
✅ 1.内定通知+個別メッセージで“歓迎の気持ち”を伝える
まず基本ですが、「人間味」のある歓迎の姿勢を示すこと。
単なるメールや書類送付ではなく、
・代表者や人事担当者からの「手書きメッセージ」
・会社の雰囲気が伝わる写真や動画を添付
といったアプローチが効果的です。
小規模な企業ほど「人」で選ばれる傾向にあるため、“あなたを大切に思っている”という意思表示が求職者の心を動かします。
✅ 2.内定者向け個別面談で「不安」を早期に取り除く
内定を出したあと、1on1でフォロー面談を行うことを強くおすすめします。
この面談では以下のようなことを確認・共有しましょう。
- 入社初日の流れ、配属部署、上司の情報
- 業務の内容・期待値のすり合わせ
- 社内の雰囲気やカルチャー
- 条件面での再確認(誤解が多い部分)
ここで“期待と現実のギャップ”を減らしておくことで、「思っていたのと違ったから辞退したい」という事態を防ぐことができます。
✅ 3.先輩社員からの“手紙”やメッセージ動画
現場で働く社員からの温かい一言が、想像以上に効きます。
人事が言うよりも、「実際に働いている人の声」の方が信用されやすく、入社後のイメージづくりにもつながります。
「〇〇さんと働けるのが楽しみです!」
「こんな雰囲気の会社ですよ。安心して来てくださいね」
といった、ほんの数行でも構いません。
✅ 4.定期的な“連絡”で存在を忘れさせない
内定者が入社までに数ヶ月ある場合、時間が空きすぎると心理的距離が広がります。
・週報や社内の近況レターを送る
・Zoomでの簡単な雑談・情報共有会を設ける
・オフィス見学や社内イベントへの参加案内をする
これらを通して、常に企業とつながっている“実感”を与え続けることがポイントです。
✅ 5.「入社準備ガイド」で不安を事前に解消する
細かい部分ですが、入社前の不安は「情報不足」が原因のことが多いです。
以下のような内容をまとめた「入社前ガイド」資料を作成すると安心感が高まります。
- 初日の集合時間・場所・持ち物
- オフィスの場所や交通手段
- 昼食環境、服装の自由度
- チーム構成と簡単な紹介
「ここまで用意してくれている会社なら、ちゃんとしてそう」と安心感が生まれます。
✅ 6.家族向け資料やQ&Aも有効
特に若年層・第二新卒層では「親の意見」が入社決定に大きく影響します。
可能であれば、家族に向けた安心感を与えるパンフレットなどもおすすめです。
例:「うちの会社はこんなところです」
→ 経営理念・働き方・福利厚生をわかりやすく解説
■ まとめ|「内定」はゴールではなく、“入口”
「内定者フォロー」というと、「中小企業にはそこまで手が回らない…」と思われるかもしれません。
ですが、実際にはちょっとした気配り・接触を丁寧に積み重ねるだけで、辞退のリスクは確実に減らせます。
人材を採用するコストと手間は年々上がっています。
せっかくのご縁をムダにしないためにも、内定後のフォローは“採用成功のラストピース”として、ぜひ丁寧に設計してみてください。