遺言で「寄付」を実現する方法とは?手続き・注意点・よくある誤解まで解説

目次

はじめに:遺言で社会貢献という選択肢

「子どももいないし、財産は自分の好きな団体に役立ててほしい」
「今までお世話になった病院や学校に、感謝を形にして残したい」
「自分が亡くなった後も、誰かの助けになるように」

このように「遺贈寄付(いぞうきふ)」を希望される方が、近年増えてきました。
特に遺言書で寄付を行うことで、生前では難しかった支援を形にできるとして注目されています。

今回は、そんな遺言による寄付の方法、流れ、注意点を解説します。


「遺贈」と「寄付」はどう違うの?

遺贈とは、遺言によって特定の人や団体に財産を譲ること。
その中で、相手が公益法人やNPO、学校、病院、自治体などであれば、それが「遺贈寄付」となります。

用語意味
遺贈遺言によって財産を渡すこと「Aさんに現金100万円を渡す」
遺贈寄付財産を非営利団体等へ寄付すること「○○基金に1,000万円を寄付する」

寄付できる相手はどんなところ?

主な寄付先は以下のような団体です。

  • 社会福祉法人(老人ホーム・障がい者支援施設など)
  • 公益財団法人・公益社団法人
  • 学校法人(母校など)
  • 医療法人(病院、診療所など)
  • NPO法人(子ども支援、環境、動物保護 など)
  • 地方自治体(ふるさと納税と同様に)

✅ 一般社団法人や任意団体も対象にできますが、寄付の使途や継続性の確認が必要です。


実際の流れ:遺言書にどう書けばいい?

  1. 寄付したい団体を決める
     - 活動内容、理念、財務の健全性なども確認。
     - 必ず正式名称を確認(登記上の名称がベスト)。
  2. 遺言書に具体的に記載する
     例:「公益財団法人○○育英会に対し、現金500万円を寄付する」
     → 不明確だと無効になるおそれあり。
  3. 遺言執行者を指定する(推奨)
     - 寄付を実行してくれる信頼できる人や専門家を指定。
     - いない場合、相続人が代行することになる。
  4. 寄付先に事前に連絡(できれば)
     - 「受け取ってくれるか」「どう使うか」などの意思確認があるとスムーズ。
     - 特に不動産・株式などは断られる場合もあるため注意。

よくある誤解と注意点

❌「誰にでも簡単に寄付できる」は誤解

→ 法人格や登記の有無により、受け取りに必要な書類・手続きが異なります
特に宗教法人や任意団体の場合、専門家の確認が必須。

❌「相続税がかからない」わけではない?

→ 相続人ではなく非営利法人への遺贈寄付の場合は、基本的に非課税です。
ただし、相続人に課税される場合もあるため、税理士等の確認が必要です。

❌「遺言書があれば絶対に実現できる」も誤解

→ 団体によっては受け取りを拒否されるケースがあります。
また、記載が曖昧だと無効や宙に浮いた寄付になってしまうことも。


寄付付き遺言の「事前相談」はおすすめ

寄贈寄付を考えるなら、できれば専門家(行政書士・司法書士・弁護士)や、団体の寄付担当窓口と事前に連携をとるのが理想です。

最近は、「遺贈寄付を受け付けています」と明示している団体も増えており、
・受け取り体制
・活用の透明性
・報告制度
が整備されてきています。

✅ 代表的な団体:日本赤十字社、ユニセフ、日本財団、あしなが育英会、動物愛護団体など


「あなたらしい遺言」は社会に残る

遺贈寄付は、自分の死後に「想い」や「価値観」を社会に託す方法です。
「誰かに財産を譲る」だけでなく、「未来の社会に貢献する」選択肢。

たとえば、

  • 動物が好きだった人が、動物保護団体に支援を。
  • 看護師だった方が、医療系学生の奨学基金へ。
  • 子どもの頃に奨学金を受けた人が、今度は支える側に。

──そんな“生き方の集大成”となるような遺言も、十分に可能なのです。


まとめ:「財産を未来に託す」という選択肢

  • 相続人がいない
  • 遺族への分配とは別に、社会にも貢献したい
  • 「生きた証」を形にして残したい

そんなあなたに、遺言による寄付は一つの有力な選択肢です。

✅ ただし、寄付の形式、税務、団体との調整には注意点が多くあります。
✅ 曖昧にせず、必ず具体的な記載と事前の確認を行いましょう。

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