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許可の更新は「5年間の通信簿」— 取得時より難しいと言われる理由
建設業許可は一度取得すれば終わりではありません。
有効期間は5年間と定められており(建設業法第3条第3項)、継続して事業を行うためには期間満了前に必ず更新申請を行わなければなりません。
新規申請が「スタートラインに立つ資格」の審査だとすれば、更新申請は「過去5年間、法令を守り、適正に事業を運営してきたか」という通信簿の審査です。
東京都の審査では、特に日頃の「変更届(異動届)」や「決算変更届(決算報告)」の提出状況が厳しくチェックされます。
期限を1日でも過ぎると許可は失効し、その後の請負工事は無許可営業となります。
この記事では、この重大なリスクを避けるため、東京都の手引に基づいた正確な受付期間と、更新で絶対に確認すべき3つの必須コンプライアンス項目を詳しく解説します。
許可更新の絶対ルール
受付期間の厳守と一本化のメリット
更新申請の最初の関門は「いつまでに提出するか」です。
建設業法では、更新申請が可能な期間が厳格に定められています。
受付期間の正確な計算方法
許可の有効期間は、許可を受けた日から5年後の当該許可日の前日をもって満了します。
更新申請の受付期間は、この満了日の「2か月前から30日前まで」です。
| 項目 | 具体的な日付の例 (2020年8月5日許可の場合) |
| 許可の有効期間満了日 | 2025年8月4日 |
|---|---|
| 受付開始日(2か月前) | 2025年6月5日 |
| 受付終了日(30日前) | 2025年7月5日 |
この期間を過ぎて申請書を提出しても、原則として受け付けてもらえません。
期限に余裕を持たず、特に郵送の場合は、受付期間最終日の前日までに都庁へ届くよう手配しなければなりません。
複数許可の「一本化」とは?
同一事業者が複数の業種で許可を持っている場合、許可日が異なることがあります。(例:内装仕上業は2020年5月、電気工事業は2021年4月)
この場合、最初に満了する許可の更新時に、残りの許可も同時に更新申請を行うことで、全ての許可の有効期間満了日を統一できます。
これにより、以後の更新手続きや管理の手間が大幅に軽減されます。

更新審査で最も厳しくチェックされる
「3つの管理項目」
新規申請の要件(経管、専技、財務など)を更新時も満たしているかは当然チェックされますが、更新審査では特に、過去5年間の事業運営の継続性と適法性が問われます。
1.過去5年間の決算変更届の提出状況
これが更新手続きの最大の鬼門です。
建設業法は、毎事業年度終了後4か月以内に決算変更届(決算報告)の提出を義務付けています。
更新申請を行う時点で、過去5年間の決算変更届が全て提出されていることが原則として大前提となります。
- 未提出のリスク
1年でも欠けていると、その未提出分の届出を遡って作成・提出しなければ、更新申請を受け付けてもらえない場合があります。
2.社会保険加入状況の継続性
法人の場合、社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への加入は必須です。
更新時も、加入義務があるにもかかわらず未加入の状態がないかがチェックされます。
- 確認書類
直近の社会保険料の領収証書や、適用事業所通知書などが求められ、5年間、法人として適切な加入を維持してきたことが証明できなければなりません。
3.常勤役員等・専任技術者の「常勤性」
経営業務の管理責任者(常勤役員等)や専任技術者(専技)が、5年間を通じて営業所に常勤していたか、そして現在も常勤しているかが確認されます。
- 異動届の有無
万が一、専技や経管が退職したり、他の営業所へ異動したりしたにもかかわらず、「変更届(異動届)」を提出していなかった場合、その期間は要件を満たしていない状態となり、許可の維持に重大な問題が生じます。
東京都が求める
「更新申請」の必須書類リスト
更新申請で提出する書類は新規申請に準じますが、過去5年間の情報が集約されるため、書類の点数と確認作業量が膨大になります。
新規申請と異なる点:再提出と省略
| 書類分類 | 新規申請との主な違い |
| 許可申請書(更新用) | 様式第1号を使用し、「更新」にチェックを入れます。 |
|---|---|
| 財務諸表 | 直近の決算期のもの(様式第15号~17号の3など)。必ず建設業法様式を使用します。 |
| 納税証明書 | 直近の決算期に係る法人事業税または個人事業税の納税証明書が必要です。 |
| 略歴書・誓約書 | 役員全員分について、改めて提出が必要です。 |
| 営業所・技術者証明 | 新規・直近の決算報告時の内容から変更がない場合でも、常勤性の証明(健康保険証、住民税特別徴収証明など)や、営業所写真・賃貸借契約書等の再提出が求められます。 |
添付書類の有効期間と都税事務所での手続
提出する公的書類(登記事項証明書、納税証明書、身分証明書など)には、発行日から概ね3ヶ月以内という有効期間が定められています。
特に納税証明書は都税事務所で請求する必要があり、発行に日数がかかることがあるため、早めに手配を始める必要があります。
期限超過・失効のリスク
「新規申請」再取得の代償
更新期限を過ぎた場合、建設業許可は満了日をもって自動的に効力を失います(失効)。
失効後の「無許可営業」の罰則と再取得
許可が失効した後に、500万円以上の工事を請け負った場合、無許可営業となり、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金という重い罰則(建設業法第47条)の対象になります。
また、失効した場合、再取得は「新規申請」扱いとなり、以下の大きな代償を伴います。
- 手間と時間
新規申請の要件全てを再度証明しなければならず、審査期間も長くかかります。 - 費用
新規申請手数料(東京都知事許可は9万円)が再度必要になります。 - 信用の損失
取引先や金融機関からの信用を大きく損なう可能性があります。
更新申請は、失効を避けるための「予防法務」であり、満了日の30日前までという期限は決して破ってはいけない生命線です。
更新のための実務スケジュール
行政書士の役割
更新時期3ヶ月前からの事前チェックリスト
- 【満了日の3ヶ月前】
許可証を確認し、満了日、受付期間を再確認する。 - 【満了日の2ヶ月前】
過去5年分の決算変更届が全て提出済みかチェックする。
未提出分があれば最優先で作成・提出する。 - 【満了日の1.5ヶ月前】
常勤役員等、専任技術者、営業所の現況を確認し、変更点がないか最終チェック。 - 【満了日の1ヶ月前】
直近の財務諸表、納税証明書、社会保険証明など、公的書類の発行を手配する。 - 【満了日の30日前まで】
書類を提出し、受付を完了させる。
行政書士に依頼することで、この複雑で期限が厳しい手続きを完全に代行できます。
過去の決算変更届の提出状況チェックから、常勤性の証明書類の手配、煩雑な都庁の窓口対応まで、専門家が一括して行うことで、事業者は本業に専念できます。
この記事のまとめ
建設業許可の更新は、単なる書類の書き換えではなく、5年間の企業コンプライアンスの集大成です。
特に決算変更届の年間提出義務、法人の社会保険加入の継続、そして専任技術者や常勤役員等の常勤性の維持は、更新審査をクリアするための核となります。
- 許可の有効期間は5年間であり、更新申請の受付期間は満了日の2か月前から30日前までと厳格に定められています。
- 更新審査では、過去5年間の決算変更届(決算報告)がすべて提出されていることが大前提となり、未提出分があると更新手続きが大幅に遅延します。
- 常勤役員等や専任技術者の常勤性が途切れていないか、また、法人事業者の社会保険加入が継続されているかが厳しくチェックされます。
- 受付期間を過ぎてしまうと許可は失効し、再取得は煩雑な新規申請扱いとなり、無許可営業のリスクも発生します。
- 提出書類が多く、有効期限の管理も複雑なため、満了日の3ヶ月前を目安に専門家への相談を始めることが、安全な事業継続の鍵となります。
「うっかり期限が過ぎてしまった」では済まないのが建設業許可です。
事業の継続性を守るためにも、余裕をもって手続きに着手し、日々のコンプライアンスを徹底しましょう。
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