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公共工事を受注するために必要な手続きと評価ポイントを行政書士が解説
建設業を営んでいる方で「公共工事も受注したい」と考えている方にとって、避けて通れない手続きがあります。
それが「経営事項審査(経審:けいしん)」です。
民間工事のみを行う場合には必要ない手続きですが、国・自治体・公団などの公共工事を請け負うには、経審の受審が必須になります。
この記事では、
- 経審の仕組みと目的
- 評価されるポイントと流れ
- 行政書士がサポートできる範囲
を詳しく解説します。
✅経営事項審査(経審)とは?
経営事項審査とは、公共工事の入札に参加するために建設業者が受ける経営状態や業務実績の客観的な審査制度です。
国土交通省や都道府県などの公共発注者が、どの建設業者に工事を発注すべきかを判断する材料として利用します。
✅経審が必要になる場面
以下のようなケースでは、経審を受けていることが条件になります。
- 国・地方自治体の指名競争入札や一般競争入札に参加する場合
- 公共工事に係る建設業者格付け(ランク付け)の対象となる場合
つまり、経審は「入札に参加するためのパスポート」とも言えます。
✅経審の全体的な流れ
経審は、以下のステップで行われます。
- 決算変更届(事業年度終了報告)を提出(都道府県)
- 経営状況分析申請(Y点)を外部機関に申請
- 経営規模等評価申請(X・Z・W点)および総合評定値(P点)の申請
- 総合評定値通知書の受け取り
- 入札参加資格審査に提出
✅評価項目と構成(何が点数化されるのか)
経審では、以下の5項目が点数化され、最終的に「総合評定値(P点)」として算出されます。
項目 | 内容 | 点数名称 |
---|---|---|
経営規模 | 完成工事高、技術者数など | X点 |
経営状況 | 財務状況(自己資本比率、利益率など) | Y点 |
技術力 | 有資格技術者の保有数 | Z点 |
社会性等 | 法令遵守、労働環境改善など | W点 |
総合評定値 | 上記すべてを元に算出される総合評価 | P点 |
このP点が、入札参加の際の格付け(A~Dランクなど)に大きく影響します。
✅特に重要な評価ポイント
◆X点(経営規模)
- 年間の工事実績(完成工事高)
- 常勤技術者の人数
→ 実績ある企業ほど高得点に
◆Y点(経営状況)
- 自己資本比率、利益率など8項目の財務指標
→ 財務の健全性が重視されます
◆Z点(技術力)
- 一級・二級施工管理技士などの有資格者の数
→ 業種ごとの資格要件に注意
◆W点(社会性等)
- 法令順守、建設業退職金共済加入状況など
→ SDGsや女性活躍推進なども加点対象
✅申請に必要な主な書類
書類名 | 内容 |
---|---|
工事経歴書 | 過去1年間の工事実績 |
技術職員名簿 | 有資格者の氏名・資格内容など |
財務諸表 | 決算書3期分(直近期重視) |
建設業許可証の写し | 有効な建設業許可があること |
雇用保険・社会保険の加入証明 | 社会性評価の対象 |
✅行政書士がサポートできる内容
経審は、単なる書類提出ではなく、点数を上げるための戦略的な分析と準備が重要です。
📌行政書士による支援内容
- ✅ 決算変更届・経営事項審査の申請書類の作成
- ✅ 経営状況分析のためのデータ整理・助言
- ✅ 技術者資格の確認・名簿整備
- ✅ 評価点向上のためのアドバイス(W点対策)
- ✅ 提出先ごとの提出日程・要件確認
✅経審はいつ受けるべき?
経審の有効期間は1年7か月(実質1年+α)です。
そのため、定期的に更新手続きが必要です。
また、決算期の終了から早めに動くことで、入札資格の申請スケジュールに余裕をもって対応できます。
✅まとめ:公共工事を目指すなら、経審対策は必須!
経営事項審査は、単なる形式的な手続きではなく、建設業者としての信用力・技術力・経営の健全性を示す「格付け制度」です。
経審のスコアによって、
✅ 受注できる工事のランク
✅ 入札での選定確率
✅ 発注者からの信頼度
が大きく左右されます。
経審対策は行政書士などの専門家の力を借りることで、ムダなく・有利に・確実に申請を進めることができます。