目次
【はじめに】
「ウチは仲がいいから大丈夫」
……そう思っていたのに、相続をきっかけに関係が壊れたというケースは少なくありません。
相続では、法定相続分通りに分けるとは限らず、相続人全員の話し合い=遺産分割協議が必要となります。
今回は、相続トラブルを防ぐために知っておきたい「遺産分割協議の基本」「スムーズな進め方」「行政書士がサポートできる範囲」についてわかりやすく解説します。
【1】そもそも「遺産分割協議」とは?
遺産分割協議とは、被相続人の財産を誰がどのように引き継ぐかを相続人全員で話し合って決めることです。
▶ 遺産分割が必要な財産の例:
- 預貯金・有価証券などの金融資産
- 不動産(自宅・土地・アパートなど)
- 自動車・家財・骨董品などの動産
💡【相続人全員の合意】が絶対条件。1人でも欠けると協議は無効です。
【2】協議が不要なケースもある?
以下のような場合は、遺産分割協議を行わなくても手続きできることがあります。
- 被相続人に財産がない/非常に少額
- 相続人が1人だけ(単独相続)
- 遺言書があり、内容に沿って分けられる場合
ただし、金融機関や法務局では、遺言書があっても協議書を求められることもあるため注意が必要です。
【3】スムーズに進めるためのポイント5つ
✅① まずは「財産の棚卸し」
- 通帳、証券、保険、不動産登記簿などを確認
- 借金や連帯保証などの「マイナスの財産」も把握
→ 不明確なまま協議に入ると後でトラブルになります。
✅② 法定相続人を確定する
- 戸籍をすべて集めて相続人を確認(出生~死亡)
- 認知された子、養子、再婚歴などの有無にも注意
✅③ 話し合いは文書で記録する
- メール・LINEだけでは法的効力なし
- 書面に残しておくことで、後々の誤解や撤回を防げる
✅④ 「公平」と「納得」のバランスを取る
- 必ずしも法定相続分に従う必要はありません
- 「生前贈与があった人は減らす」「不動産は誰かが取得して代償金で調整」など柔軟な方法も
✅⑤ 専門家を介入させるタイミング
- 意見が分かれ始めた段階で行政書士や弁護士に相談を
- 第三者が入ることで感情的な対立が和らぐこともあります
【4】行政書士がサポートできること
行政書士は中立的立場から、相続人全員の意向に基づいた「遺産分割協議書」を法的要件を満たした形で作成します。
▶ 主なサポート内容:
- 相続人の戸籍調査と法定相続人の確定
- 財産目録の作成補助
- 遺産分割協議書の文案作成
- 実印押印のための案内・印鑑証明書チェック
- 金融機関・不動産の名義変更手続きに適した形式での文書作成
✍️ 行政書士は代理で話し合いに加わることはできませんが、公平に文書を整える役割として有効です。
【5】よくあるトラブルとその予防法
トラブル例 | 原因 | 予防策 |
---|---|---|
相続人の一部が協議に参加しない | 連絡先不明、関係悪化など | 住所調査や専門家を通じた連絡 |
協議後に新たな相続人が判明 | 戸籍の取得漏れ | 行政書士に調査を依頼する |
協議内容に不満が残る | 情報不足・不公平感 | 財産目録を明確にし、説明責任を果たす |
自筆の協議書に不備 | 法的効力がない | 専門家による作成・チェック |
【まとめ】
- 遺産分割協議は相続人全員の話し合いで決定する必要がある
- スムーズな進行には「準備」と「情報共有」がカギ
- 行政書士は文書作成・戸籍調査・書類整理の面で大きなサポートが可能
- 争族を防ぐには「書面化」と「第三者の関与」が効果的