目次
【はじめに】
身近な家族が亡くなると、深い悲しみの中でも、すぐに対応しなければならない手続きが数多くあります。
中でも最初に直面するのが「行政手続き」です。
死亡届や火葬許可申請、年金や健康保険の抹消、葬祭費の請求など、相続の準備段階で非常に重要な手続きが並びます。
今回は、行政書士の視点から、相続の出発点となる「死亡後すぐに行う行政手続き」について、わかりやすく時系列順に解説します。
【1】死亡届と火葬許可申請(市区町村役場)
✅ 死亡後7日以内に提出が必要
亡くなった方(被相続人)の死亡届は、死亡後7日以内に提出しなければなりません。
提出先は、以下いずれかの市区町村役場です:
- 死亡地
- 本籍地
- 届出人の所在地
📝 届出に必要なもの
- 死亡診断書(医師が発行)
- 届出人の印鑑(認印でOK)
- 身分証明書(本人確認用)
死亡届の提出と同時に「火葬許可申請書」も提出し、火葬許可証を受け取ります。
これがなければ火葬ができません。
【2】死亡届の提出後に連動して行われる行政処理
死亡届が提出されると、自治体内の各種システムが連携し、次のような手続きが自動または半自動的に開始されます。
- 健康保険の資格喪失
- 国民年金の停止
- 世帯主変更届
- 住民票の除票作成
- 介護保険の停止 など
ただし、「自動で止まらない手続き」や「請求しなければ受け取れないもの」もあるため、別途行動が必要です。
【3】未支給年金・遺族年金の手続き(年金事務所)
被相続人が年金を受け取っていた場合、次の2つの対応が必要です。
▶️ 未支給年金の請求
死亡月分まで支給される年金(※死亡日ではなく月単位)について、請求しなければ支払われません。
- 申請先:年金事務所または市区町村の窓口
- 請求できる人:配偶者、子などの法定相続人
- 必要書類:死亡診断書コピー、世帯全員の住民票、本人確認書類、通帳コピー など
▶️ 遺族年金の申請(該当者のみ)
条件を満たせば、遺族基礎年金・遺族厚生年金を受給できます。
【4】健康保険・介護保険の資格喪失と給付手続き
✅ 国民健康保険・後期高齢者医療
死亡届と連動して資格喪失となりますが、次のような給付申請が必要です。
▷ 葬祭費の支給申請
- 支給額:自治体による(例:5,000円〜50,000円)
- 申請期限:死亡から2年以内
- 提出先:市区町村役所
- 必要書類:火葬許可証のコピー、喪主の通帳、印鑑
【5】公共料金や行政サービスの名義変更・停止
亡くなった方が契約していた各種サービスも早めに手続きが必要です。
- 電気・水道・ガスの名義変更または解約
- 固定電話や携帯電話の解約
- NHK・自治体ごみ処理関連の変更
- マイナンバーカードの返納
- 印鑑登録の抹消手続き
【6】行政書士がサポートできること
行政書士は、相続人からの依頼を受けて以下のような書類収集や作成をサポートできます:
- 戸籍謄本・除籍の取得
- 相続関係説明図の作成
- 健康保険や年金に関する請求書類の整備
- 遺族年金や未支給年金の請求書作成支援
- 火葬許可証や葬祭費申請書の提出代行
また、「何から手を付ければいいのか分からない」方向けに、手続きの流れを整理するコンサル的支援も行えます。
【まとめ】
- 死亡届は最初に行う重要な行政手続き。火葬許可と連動する
- 健康保険・年金の停止だけでなく「受け取れる給付」の請求も必要
- 各種手続きを漏れなく進めるためには、早い段階での整理が重要
- 行政書士は、戸籍収集・文書作成・提出書類の整備で大きな力となる