※本ページはプロモーションが含まれています。
建設業を営んでいると、事業の拡大に伴い、「新しい工事の種類(業種)を取り扱いたい」という場面が出てきます。
そのときに必要となるのが 「業種追加」 の手続きです。
たとえば、内装工事業を営んでいる会社が設備工事を手がけたい場合、あるいはとび・土工工事業者が舗装工事を始めたい場合など、新しい工事を行うには、その業種の建設業許可を追加取得しなければなりません。
本記事では、東京都の建設業許可手引きに基づいて、業種追加の手続き・要件・注意点をわかりやすく解説します。
業種追加とは?
「業種追加」とは、すでに建設業許可を持っている事業者が、現在の許可業種に加えて、別の工事業種の許可を追加で取得することです。
建設業法では、建設工事を次の29業種(建築一式・土木一式+27専門工事業)に分類しています。
このため、ある工事を請け負うには、その工事に対応する業種の許可が必要になります。
業種追加が必要なケース
≪ケース1≫
新たな種類の工事を請け負いたいとき
例:電気工事業の許可で事業を行っていたが、管工事業も手がけたい場合。
≪ケース2≫
公共工事で特定業種資格が求められるとき
元請や公共工事の入札参加の際、特定業種の許可を要求されることがあります。
≪ケース3≫
一式工事から専門工事を追加する場合
たとえば建築一式工事業者が、自社で専門工事(左官・電気・大工など)を直接施工したいとき。
業種追加の種類(3パターン)
- 一般 → 一般 の追加
現在「一般建設業」の許可を持っており、他の一般業種を追加する場合。 - 特定 → 特定 の追加
すでに「特定建設業」の許可を持っていて、他の特定業種を追加する場合。 - 一般 → 特定 の変更(許可換え新規)
特定業種を新たに取得する場合(下請け金額が大きい元請を想定)。
※この3番目は「業種追加」ではなく「許可換え新規」と呼ばれ、審査がより厳しくなります。
業種追加の手続き概要
管轄
- 東京都知事許可の場合:東京都都市整備局(都庁第二本庁舎)へ提出
- 国土交通大臣許可の場合:地方整備局へ提出
手数料
- 一般・特定いずれも 1業種あたり5万円(東京都収入証紙で納付)
審査期間
- 東京都では、申請から許可まで おおむね30〜45日程度(補正対応を除く)
- 繁忙期や書類不備があるとさらに日数がかかります。
業種追加の主な要件
業種追加では、基本的に「新規申請」と同じ審査が行われます。
つまり、次の5つの許可要件を改めて満たす必要があります。
- 経営業務の管理責任者(経管)がいること
新しい業種の実務経験を有する経管が必要。 - 専任技術者(専技)がいること
追加する業種ごとに専任技術者を配置。
資格(施工管理技士など)または実務経験で証明します。 - 誠実性があること
法令違反歴や不正行為がないこと。 - 財産的基礎または金銭的信用があること
一般許可:自己資本500万円以上など(決算書で確認)。 - 適切な事務所を有すること
営業実態のある独立した事務所が必要。
これらの要件を、現在の許可内容+新しい業種で改めて審査します。
提出する主な書類
東京都の「業種追加」申請では、以下の書類を整える必要があります。
- 建設業許可申請書(業種追加用)
- 経営業務の管理責任者証明書
- 専任技術者証明書(資格証明書または実務経験証明書)
- 役員の略歴書・誓約書
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 直近決算書および財務諸表
- 社会保険加入証明書(法人必須)
- 営業所の写真・賃貸借契約書写し
- 納税証明書(法人事業税または所得税)
書類の構成は「新規許可申請」とほぼ同じですが、既存許可分の情報を踏まえて追加業種分だけを新たに審査します。
実務でのポイント
専任技術者の配置に注意
追加する業種ごとに常勤の技術者が必要です。
既存業種と同一人物を兼任することは原則不可。
人員に余裕がない場合は、技術者の採用や資格取得を事前に検討しましょう。
経管の経験要件の確認
新しい業種での経営経験が必要となるため、既存業種でしか経験がない場合は要件を満たさないことがあります。
同系統(例:土木系→舗装工事)の場合は緩和されることもありますが、個別確認が必要です。
財務要件の再審査
過去の決算書で自己資本が500万円未満などの場合、業種追加が認められないことがあります。
決算変更届を未提出の場合も審査が止まるため、必ず提出済みにしておきましょう。
事務所要件・社会保険加入
営業所の実態を示す写真・契約書・保険加入証明が更新時と同様に必要です。
業種追加の流れ(東京都の場合)
| 手続きステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 事前確認 | 経管・専技・財務要件を自己チェック |
| ② 書類作成 | 追加業種分の申請書・証明書を作成 |
| ③ 収入証紙購入 | 1業種あたり5万円 |
| ④ 提出 | 東京都庁 建設業課へ(窓口持参) |
| ⑤ 審査・補正対応 | 約1〜1.5か月 |
| ⑥ 許可書交付 | 新しい業種が許可証に追記される |
よくある不許可・補正例
- 経管・専技の経験が追加業種に適用できない
- 専技の常勤性を示す書類(給与台帳・社会保険加入証明)が不十分
- 決算変更届未提出または財務状況が要件不足
- 営業所の写真が不適切(実態不明)
いずれも、東京都の審査では詳細な裏付け資料を求められるため、準備段階でチェックリストを作成すると安心です。
まとめ
建設業許可の業種追加は、すでに許可を持っている事業者でも新たな審査が行われる重要手続きです。
- 追加業種ごとに経管・専技の要件を満たす必要あり
- 財務・社会保険・事務所要件も再確認が必要
- 審査期間は約1〜1.5か月
- 手数料は1業種あたり5万円
「一度許可を取ったから大丈夫」と油断せず、初回申請と同じ慎重さで書類を整えましょう。
💡ご相談は下記からお気軽にお問い合わせください。


