近年、結婚という枠にとらわれず、
事実婚・内縁関係・同性カップルなど「おふたりさま」の形を選ぶ方が増えています。
しかし──
法律上の「家族」ではないため、相続の場面で困るケースが多数発生しています。
✅「長年一緒に暮らしていたのに、財産は一切もらえなかった」
✅「パートナーが急逝しても、自宅に住み続けられなかった」
✅「病院や葬儀、役所で“他人”扱いされた」
これは他人事ではなく、誰にでも起こり得るリアルな問題です。
本記事では、法的に家族でない「おふたりさま」が、
大切な人を守るためにできる相続・遺言の備えをわかりやすく解説します。
相続の現実:「おふたりさま」は“他人”とみなされる
法律上、相続人になれるのは次のような人に限られます。
法定相続人の順位 | 該当者 |
---|---|
第1順位 | 子ども(養子含む) |
第2順位 | 両親などの直系尊属 |
第3順位 | 兄弟姉妹(甥姪含む) |
💡注意:内縁の配偶者・同性パートナーは、法定相続人ではありません。
つまり、遺言がなければ、1円も相続できないのが原則です。
しかも、住んでいた家や共同名義の預金も、「相手の死」とともに失うリスクがあります。
遺言があれば、守れるものがある
法律で守られない関係でも、遺言によって財産を託すことが可能です。
✅ 遺言書でできること
- 自宅・預金・保険金をパートナーに残す
- 特定の財産(家具・車など)を譲る
- 「感謝の気持ち」や「メッセージ」を残す
- 他の法定相続人に対して説明や配慮を記す
法的な効果と同時に、
「私はこの人を家族だと思っていた」という意思を遺すこともできます。
よくある失敗例と回避策
❌ケース1:「口約束だけで安心していた」
→遺言書がなければ、財産は親族へ流れる。
→自宅を明け渡すよう求められ、住む場所を失うケースも。
✅対策:自宅不動産の共有化 or 遺贈を遺言で明記
❌ケース2:「生活費を支えてきたのに、何も残らない」
→パートナーが死亡しても、その貢献は法的に考慮されにくい。
✅対策:金銭や預金、生活費名義の整理+遺言+契約書の活用
❌ケース3:「急な病気で判断能力がなくなった」
→財産管理や医療の判断も、パートナーには権限がない。
✅対策:任意後見契約+公正証書遺言の併用が効果的
遺言の書き方:ポイントは「具体的に」「丁寧に」
公正証書遺言の例:
「私の預貯金のうち、○○銀行の普通預金(口座番号:XXXX)にある残高のうち500万円を、長年連れ添った○○ ○○(生年月日:XXXX年XX月XX日、住所:○○市○○町)に遺贈する」
補足的なメッセージを加えるとより丁寧:
「この人と生きてきた時間は、私にとってかけがえのないものでした。この気持ちを、遺言という形で残します。」
遺言だけでなく「任意後見」や「信託」も検討を
高齢化・認知症リスクの増加により、遺言だけで対処できない場面も増えています。
💡おすすめ対策の組み合わせ:
状況 | 対策 |
---|---|
病気・介護・認知症への備え | 任意後見契約 |
財産管理の委任 | 財産管理契約 |
死後の葬儀・墓など | 死後事務委任契約 |
パートナーの将来支援 | 民事信託(家族信託)+遺言 |
これらを公正証書+専門家のサポートで残すことで、
より安心・確実に想いを実現できます。
まとめ:「結婚していない=無防備」にならないために
- 「おふたりさま」は相続・医療・法律上の手当てが薄い
- 遺言がなければ、全財産がパートナー以外に渡る可能性も
- 公正証書遺言+後見契約の併用で“家族に近い保障”を得ることが可能
✅ 今、一緒にいる大切な人を守れるのは、“あなたの意志”だけです。
✅ 書面にして、伝えましょう。人生を共にした証として。