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成長市場への参入と、厳格化する環境法令の遵守
建設現場や工場、オフィスから日々排出される産業廃棄物(産廃)の収集運搬は、社会インフラを支える重要なビジネスです。
景気や環境意識の高まりに伴い、この市場への新規参入を検討する運送業者や建設業者も増えています。
しかし、この事業を始めるには、「産業廃棄物収集運搬業許可」が廃棄物処理法によって厳格に義務付けられています。
この許可は、単なる運送業の許可とは異なり、「適正処理能力」と「安定した財務基盤」を持つことを公的に証明しなければなりません。
この記事では、行政書士が、新規参入を目指すあなたが失敗なく、最短で許可を取得するための完全ロードマップを提供します。
特に、審査の最大の壁となる「財務要件のクリア」と、多県申請時の「ローカルルールの壁」、そして5年ごとの更新で必要な知識を解説します。
産業廃棄物収集運搬業とは?
許可の対象と2種類の区分
産業廃棄物収集運搬業とは、他人から委託を受けて産業廃棄物を排出場所から中間処理場や最終処分場まで運搬する事業を指します。
許可が必要な2つの要件と
「自己運搬」との違い
許可が必要なケースは、以下の2つの要件を同時に満たす場合です。
- 他人から委託を受けていること(営利目的)
- 産業廃棄物を運搬していること
| 運搬の形態 | 許可の要否 | 適用される法律 |
| 他人(排出事業者)の産廃を運ぶ | 許可必須 | 廃棄物処理法(産業廃棄物収集運搬業) |
|---|---|---|
| 自社で排出した産廃を運ぶ | 許可不要(自己運搬) | 廃棄物処理法(事業活動に伴う排出者の義務) |
「積替え保管なし」と
「積替え保管あり」の違い
産業廃棄物の収集運搬業には、運搬中に一時的な保管施設(積替え保管施設)を持つかどうかで、申請の難易度が大きく変わります。
- 積替え・保管をしない
排出場所から直接、中間処理場や処分場に運搬する形態。
多くの新規参入業者がこの形態で許可を取得します。 - 積替え・保管を行う
中継地点などで廃棄物を集積し、効率化を図ってから改めて処理場に運搬する形態。
施設の構造、面積、周辺環境など、厳しい基準が設けられており、許可取得のハードルが非常に高くなります。
基本的には、積替え・保管なしでの申請を検討することから始めるのが一般的です。
産業廃棄物収集運搬業許可
「5つの要件」
産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するには、廃棄物処理法に定められた以下の5つの厳格な要件をすべてクリアする必要があります。
≪要件1≫
講習会(知識・技能)の修了と有効期限
- 必須要件
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する「新規講習会(収集運搬課程)」を受講し、修了試験に合格する必要があります。 - 修了者
法人の場合は役員(代表取締役など)、個人事業主の場合は本人または政令で定める使用人(支店長など)が受講します。 - 有効期限
修了証の有効期間は5年間です。
許可の更新時にも、改めて講習を受講する必要があります。
≪要件2≫
技術的基準(車両・運搬方法の整備)
廃棄物の飛散・流出を防ぎ、安全に適正に運搬するための体制が求められます。
- 運搬車両の確保
運搬に使う車両(トラックなど)は、飛散・流出を防ぐための措置(荷台の密閉化、シート掛けなど)が取れる構造であること。
また、車両は運搬する廃棄物の種類に適したものである必要があります。 - 車両への表示・書面備え付け
車両の側面に「産業廃棄物収集運搬車」、事業者名、許可番号を明確に表示することが義務付けられています。
また、許可証の写しや緊急連絡先を携行することも必須です。
≪要件3≫
経理的基礎(財務要件)の確実なクリア
産廃処理を安定的に継続できるための資金的基盤があることが求められ、これが新規参入の最大の壁となることが多いです。
- 原則
直近3期の決算書において、債務超過(負債が資産を上回っている状態)でないことが求められます。 - 例外・補足
債務超過であっても、金融機関からの融資証明書や、親会社・関連会社からの資金援助に関する確約書などにより、事業継続に必要な資金力があることを証明できる場合があります。 - 行政書士の専門性
行政書士は、決算書の内容を分析し、債務超過や赤字の場合でも、事業計画や資金調達計画を盛り込んだ「経理的基礎に関する説明書類」を作成し、許可権者に提出することで、許可の可能性を高めます。
≪要件4≫
欠格事由に該当しないこと
申請者(法人・個人事業主)および法人の役員などが、過去に廃棄物処理法や暴力団対策法に違反していないことが要件となります。
- 主な欠格事由
- 過去に廃棄物処理法違反で罰金以上の刑を受けて、その執行が終わってから5年を経過しない者。
- 暴力団関係者である者、またはその影響下にある者。
- 精神の機能の障害により、業務を適切に行うに足りる能力を有しない者。
≪要件5≫
適法な事業計画(取り扱う廃棄物の種類)
運搬を予定している産業廃棄物の種類(例:廃プラスチック類、金属くず、廃油、がれき類など)を明確にし、それらを適正に運搬できる計画(車両、容器、ルート)を策定している必要があります。

複数県での申請(多県申請)の戦略
ローカルルールの壁
産業廃棄物収集運搬業の許可は、廃棄物の積み込みを行う場所、および積み下ろしを行う場所を管轄する都道府県・政令指定都市ごとに取得が必要です。
≪多県申請の原則≫
「運搬ルートの両端」の許可
例:東京都で積込み、千葉県の処理場へ運搬
- 東京都の許可
- 千葉県の許可
※経由する県(例:神奈川県)の許可は不要です。
行政書士が乗り越える
「ローカルルールの壁」
都道府県ごとに、以下のような独自の「ローカルルール」が存在するため、複数の県で申請する際には、それぞれの自治体のルールを把握している専門家のサポートが不可欠です。
- 申請書類の様式
添付書類や記入様式が県ごとに異なります。 - 添付が求められる補足書類
経理的基礎を証明する書類や、車両の写真の撮り方、営業所の使用権限証明の要件などが異なる場合があります。 - 事前相談の有無
一部の自治体では、申請前に必ず事前相談を義務付けている場合があります。
申請から許可取得まで
ロードマップと専門家の活用術
産業廃棄物収集運搬業許可の申請は、講習会の受講期間や行政の審査期間を考慮すると、長期的な準備が必要です。
許可取得までの6つのステップ
- 事業計画の策定
取り扱う廃棄物の種類、運搬エリア、車両を決定。 - 講習会の受講・修了証取得
新規の講習会を受講(予約や開催時期に注意)。 - 財務要件の確認・整備
決算書のチェックと、必要に応じた資金調達の計画を立てます。 - 行政書士による書類作成・チェック
すべての必要書類と証明資料を行政書士が収集・作成し、不備をチェック。 - 都道府県への申請
窓口へ申請書を提出(郵送不可の自治体が多い)。 - 審査・補正対応
行政による審査(約2〜3か月)と、指摘事項への補正対応を経て、許可証が交付されます。
≪許可後の最重要義務≫
マニフェスト(産業廃棄物管理票)
許可を取得して営業を開始した後、業者が必ず遵守しなければならないのがマニフェスト(産業廃棄物管理票)の運用です。
- 目的
排出された産業廃棄物が、最終処分まで適正に処理されたかを確認するための伝票です。 - 義務
収集運搬業者は、廃棄物を引き渡す際にマニフェストを交付・受領し、その情報を5年間保存する義務があります。
違反した場合、厳しい罰則が科されます。
この記事のまとめ
産業廃棄物収集運搬業は、環境保護と社会の持続可能性に貢献する非常に公共性の高い事業です。
そのため、許可の審査は非常に厳格であり、特に「財務的基礎」と「法令遵守の体制」が徹底的にチェックされます。
- 産業廃棄物を他人から委託を受けて運搬する場合、都道府県・政令指定都市ごとに「産業廃棄物収集運搬業許可」の取得が義務付けられています。
- 許可取得には、講習会の修了、運搬車両の適正な整備、そして債務超過でないことを原則とする「経理的基礎」の証明が必須です。
- 複数の県で事業を行う場合(多県申請)は、各自治体のローカルルールに対応した申請を行う必要があり、専門知識が不可欠です。
- 許可取得後も、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の厳格な運用や、5年ごとの更新など、継続的な法令遵守が求められます。
- 行政書士は、最もハードルの高い経理的基礎の証明や、複雑な多県申請を一括サポートし、事業者が安心して新規参入できる体制を構築します。
この許可は、単なる行政手続きの完了ではなく、「環境保護に貢献する企業」としての社会的信頼を証明するライセンスです。
専門家のサポートを活用し、確実に、そして適法にこの責任ある事業をスタートさせましょう。
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