建設現場や工場などから排出される廃材、汚泥、金属くずなどを運ぶには、「ただの運送業」の許可だけでは足りません。
これらは法律上「産業廃棄物」に該当し、専用の収集運搬業の許可が必要になります。
この記事では、これから産廃業への参入を目指す方や、建設業との兼業を検討中の方向けに、
- 産業廃棄物収集運搬業許可の基本知識
- 許可取得に必要な要件
- 申請の流れと行政書士のサポート内容
をわかりやすく解説します。
目次
✅産業廃棄物収集運搬業とは?
産業廃棄物収集運搬業とは、他人から委託を受けて、産業廃棄物を運搬する事業のこと。
たとえば以下のようなケースが該当します。
📌許可が必要な例
- 建設現場のガラ(がれき類)や廃プラスチックを回収して運搬
- 工場から出た廃油や金属くずをトラックで収集し処理場へ搬入
- 他業者の廃材を定期回収する下請業務
⚠️注意点
- 自社で出した産業廃棄物を自社で処分場に運ぶ場合は、許可不要(自己運搬)
- 他人から依頼されて運ぶ場合は、許可が必須
✅「積替え保管」の有無に注意!
申請の種類には、2つの形態があります:
- 収集運搬業(積替え・保管をしない)
→運搬中の一時的な保管なし。多くの業者はこちらを選択。 - 収集運搬業(積替え・保管を行う)
→中継所などに保管してから運搬。ハードルが高く施設の基準も厳しい。
基本的には積替え・保管なしでの許可申請が一般的です。
✅許可の種類は「都道府県ごと」
産業廃棄物収集運搬業の許可は、都道府県(政令市)単位で発行されます。
つまり、
- 排出事業者がいる都道府県
- 処理場がある都道府県
両方で許可が必要になる点が最大のポイントです。
複数の県をまたぐ場合、それぞれに申請を出す必要があります。
✅産業廃棄物収集運搬業の許可取得に必要な主な要件
以下の5つの要件を満たす必要があります。
① 事業計画・収集運搬体制の整備
- 対象とする廃棄物の種類・運搬方法が明確であること
- 積載量や安全性が確保された車両の保有(リースも可)
② 車両の表示義務
- 「産業廃棄物収集運搬車」と明記
- 車両番号・許可番号・事業者名などの表記が必要
③ 講習会の修了(法定研修)
- (公財)日本産業廃棄物処理振興センターが主催
- 「収集運搬課程」の受講・修了証の提出が必須(5年ごとに更新)
④ 欠格事由がないこと
- 暴力団関係者でないこと
- 過去に法令違反による許可取り消しがないこと
⑤ 財務要件(資金的基盤)
- 債務超過でないこと(決算書提出あり)
- 開業資金の裏付けがあること
✅申請に必要な書類(例:個人事業主)
書類名 | 内容 |
---|---|
許可申請書 | 指定様式(都道府県ごとに異なる) |
定款(法人) or 事業概要書(個人) | 業務の目的に収集運搬が含まれていること |
登記簿謄本 | 法人の場合のみ必要 |
車検証・リース契約書 | 車両の証明資料 |
講習会修了証の写し | 本人または専任技術者の分 |
財務諸表 | 過去1期分の貸借対照表など |
営業所・車庫の地図・写真 | 使用権限の証明も必要な場合あり |
✅行政書士のサポート内容
産廃許可の申請は、必要書類が多く、県によって微妙に基準が異なるため、専門的な知識が求められます。
行政書士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
📌行政書士による支援のメリット
- ✅ 許可が必要なケースの判断(自己運搬との違いなど)
- ✅ 収集運搬計画の整理・書類作成
- ✅ 車両や営業所・車庫の要件確認
- ✅ 財務諸表のチェックと補足説明書類の作成
- ✅ 都道府県ごとの申請ルールへの対応
- ✅ 更新手続きや変更届のフォロー
✅申請から許可取得までの流れ
- 業務計画・車両準備
- 講習会の受講・修了証取得
- 書類準備・申請書類作成
- 行政(都道府県)へ申請提出
- 内容審査・補正対応
- 許可証の交付(約2か月〜3か月)
許可の有効期間は5年間で、期限前に更新手続きが必要です。
✅まとめ:今後ニーズが高まる産廃業界で、許可取得は必須
建設業の現場やリフォーム、設備工事など、産業廃棄物を取り扱う仕事は今後も増えていくことが予想されます。
この分野に参入するには、「産業廃棄物収集運搬業許可」の取得が前提条件です。
申請には細かい基準や書類の整備が必要になるため、行政書士のサポートを活用することでスムーズかつ確実に許可取得を目指すことができます。