みなさん、こんにちは。東京都中野区に事務所がある「かとう行政書士事務所」です。
相続や遺言を中心に、定期的に情報を発信しています。最後まで是非ご覧ください。
安心・確実な遺言書を作るなら? 公正証書遺言を徹底解説!
「遺言書を書いておきたいけど、形式が心配」
「家族に迷惑をかけたくないから、しっかりしたものを残したい」
そんな方に特におすすめなのが、公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)です。
今回は、公正証書遺言とは何か、その特徴やメリット、注意点などを詳しくご紹介します。
✅ 公正証書遺言の主なメリット
- 無効になるリスクが極めて低い
法律のプロである公証人が内容と形式をチェックするため、形式ミスによる無効化がほぼありません。 - 遺言書の原本は公証役場で保管
万が一、本人や家族がコピーを紛失しても、再発行が可能です。 - 家庭裁判所の検認が不要
他の遺言方式と異なり、死後すぐに相続手続きを開始できます。 - 高齢者・病気の方にも安心
本人の意思確認がしっかりなされるため、のちのトラブルを防げます。
📌 どんな人に公正証書遺言が向いているのか?
公正証書遺言は「すべての人におすすめ」と言っても過言ではありませんが、特に以下のような方には強く推奨されます。
▶ 相続トラブルを防ぎたい方
「兄弟間の仲が悪い」「家族関係が複雑」など、相続人間で揉める可能性がある場合は、法的に強固な遺言書が効果的です。
▶ 自宅以外にしっかり保管しておきたい方
「誰かに見つけられて書き換えられたら困る」「紛失が不安」という方には、公証役場による原本の保管が安心です。
▶ 自筆に不安がある方
高齢や病気などで筆記が難しい場合も、公正証書遺言なら口頭で意思を伝えて作成することが可能です。
▶ 相続人以外に財産を遺したい方
内縁の配偶者、長年の友人、慈善団体など法定相続人以外の相手に財産を渡したい場合には、特に明確な意思表示が必要になります。
📝 公正証書遺言の作成手続きの流れ
以下に、公正証書遺言の作成の全体像をステップごとに具体的に解説します。
まずは、ご自身の頭の中を整理します。
✅ どの財産を
✅ 誰に
✅ どのような形で残したいか
明確にするため、以下の準備を行っておくとスムーズです。
- 不動産 → 登記簿謄本や固定資産評価証明書
- 預貯金 → 銀行名・支店名・口座番号・残高の把握
- 株式・保険・その他の資産 → 名義や評価額のメモ
- 相続人の情報 → 戸籍謄本や住民票(コピーでもOK)
お近くの公証役場に電話やメールで連絡し、作成希望を伝えます。
この際に準備資料を伝えると、公証人が内容を確認し、必要書類の案内をしてくれます。
📌 公証役場は地域によって異なりますが、全国どこでも対応可能です。
📌 初回の相談は無料のことが多く、親切に教えてくれます。
必要書類をもとに、公証人が遺言書の原案(ドラフト)を作成します。
後日、本人と一緒に内容を確認し、必要に応じて修正を行います。
📌 内容のポイント
- 相続人の正確な氏名と続柄
- 各財産の分配内容と方法
- 付言事項(感謝の言葉など自由記載)
- 遺言執行者の指定(任意だが推奨)
公正証書遺言の作成には、証人2名の立会いが法律上必要です。
❌ 証人になれない人
- 相続人や受遺者本人
- それらの配偶者や直系血族
- 未成年者
つまり、家族ではなく、信頼できる第三者や専門家(司法書士や行政書士など)に依頼するのが一般的です。
✅ 推奨される証人
- 信頼できる第三者
- 専門家(司法書士や行政書士など)
💡 公証役場に相談すれば証人を紹介してもらえます。
証人は、単なる立会人ではなく、遺言者の意思や内容に不正がないかを見届ける重要な役割を担います。
信頼できる相手を慎重に選びましょう。
公証役場に出向き、証人2名とともに正式な作成を行います。
✅ 当日の流れ
- 公証人が遺言内容を読み上げ、内容の確認
- 本人と証人が署名・押印
- 遺言書が完成
📌 ご本人が高齢・病気などで来所が難しい場合は、自宅や病院・施設などへの出張対応も可能です(別途出張費が必要)。
- 原本は公証役場が厳重に保管
- 本人には「正本」と「謄本」の2通が渡されます
✅ 「正本」:正式な証拠文書(相続手続きで使用)
✅ 「謄本」:写し(予備・確認用)
※家族や信頼できる人に、存在と保管場所を伝えておくことが重要です。
💰 公正証書遺言の作成費用
公証役場への作成費用は、遺言に記載する財産の価額に応じて変動します。
詳しくは、『日本公証人連合会』のホームページをご覧ください。
⚠️ 作成時の注意点と落とし穴
いくら公正証書遺言が安全とはいえ、作成段階での確認不足や情報の不備があると、後に問題が発生することもあります。
📌 注意すべきポイント
- 財産の特定は明確に
「○○の預金」とだけ書くのではなく、銀行名・支店名・口座番号などを記載しましょう。 - 住所・氏名・続柄なども正確に
同姓同名がいる可能性もあるため、生年月日などの情報を添えるとより確実です。 - 遺留分への配慮を忘れずに
相続人の最低限の権利(遺留分)を無視すると、遺言があっても相続トラブルにつながることがあります。
🔚 まとめ:公正証書遺言は“確実に想いを遺す”信頼の選択肢
自分の想いをしっかり伝え、家族をトラブルから守りたい方にとって、公正証書遺言は最も信頼できる遺言書のかたちです。
- 法的効力が強く
- 紛失・改ざんの心配がなく
- 死後すぐに相続手続きができる
という、三拍子揃った安心の制度。
「いつか書こう」ではなく、「元気な今のうちに」行動しておくことが、家族への最大の思いやりです。