みなさん、こんにちは。東京都中野区に事務所がある「かとう行政書士事務所」です。
相続や遺言を中心に、定期的に情報を発信しています。最後まで是非ご覧ください。
遺言書を作らないとどうなる?~遺言書がないことによるリスクとは~
「うちは家族仲がいいから大丈夫」「財産なんてたいしてないし…」
遺言書の作成について、そうお考えの方も多いかもしれません。
しかし実際には、遺言書がなかったことで“もめごと”や“手続きの長期化”が起こるケースが少なくありません。
今回は、遺言書を作らなかった場合にどのようなリスクがあるのかを、具体的にご紹介します。
🔴 1. 相続人同士でトラブルになる可能性がある
遺言書がない場合、相続は「法定相続分」に従って遺産分割協議を行います。
この協議は相続人全員の合意が必要となるため、1人でも反対すれば話がまとまらず、相続手続きが止まってしまいます。
たとえば…
- 「長男ばかり優遇されてきた」
- 「介護をしていたのに、同じ割合なんて納得できない」
- 「実家をどうするかで意見が割れた」
こうした感情の対立が表面化しやすく、兄弟姉妹で絶縁状態になってしまうケースも少なくありません。
🔴 2. 相続手続きに時間と手間がかかる
遺言書がないと、相続人が集まって遺産分割協議書を作成し、各種名義変更や手続きを行わなければなりません。
協議がまとまらなければ、裁判所での調停や審判に進むこともあります。
結果として、
- 銀行口座が凍結されたまま
- 不動産の名義変更ができない
- 相続税の申告期限(原則10ヶ月)に間に合わない
といった事態に陥ることもあるのです。
🔴 3. 希望しない相続が行われてしまうことも
遺言書がないと、遺産は法律で定められた相続人に分配されます。
たとえば…
- 内縁の妻(戸籍上は他人)には一切相続権がない
- 子どもがいない夫婦では、配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合も
- 特定の子に財産を多く残したいと思っていても、法定割合で均等に分配される
つまり、「自分の想い」と異なる形で財産が分けられる可能性が高いということです。
🔴 4. 大切な人に財産を残せない
法律上の相続人でない方、たとえば…
- 長年連れ添ったパートナー(事実婚)
- お世話になった友人
- 子ども同然に育てた養子縁組していない子
こういった方々には、遺言書がなければ一切の財産を残すことができません。
「ありがとう」を形にして伝えるためにも、遺言書は欠かせないツールなのです。
✅ まとめ:遺言書は“争族”を防ぐための最も効果的な備え
遺言書がないことで生まれるリスクは、相続トラブル・手続きの遅延・意図しない相続・想いが届かないといった多岐にわたる問題を引き起こします。
逆に、たった一通の遺言書で、家族の絆を守り、大切な想いを伝えることができるのです。
遺言書は「資産の多い人」だけのものではありません。
家族のために、そしてご自身の人生の締めくくりとして、早めの準備をおすすめします。