建設業を始めるには、「建設業許可」が必要になるケースがあることをご存じでしょうか?
特に、500万円以上の工事(※建築一式工事は1,500万円以上)を請け負う場合には、必ず許可が必要です。
しかし、申請にあたっては多くの書類や条件があり、初めての方にとっては非常にハードルが高いと感じるかもしれません。
この記事では、行政書士の視点から、建設業許可の基本情報、取得の流れ、必要書類、そして失敗しがちなポイントまでをわかりやすく解説します。
建設業許可とは?
建設業法に基づき、一定規模以上の建設工事を請け負うには「建設業の許可」を受けなければなりません。
■ 許可が必要なケース
- 工事1件あたりの請負代金が500万円(税込)以上
- 建築一式工事の場合は1,500万円(税込)以上または延べ面積150㎡以上の木造住宅
このような工事を請け負うには、「一般建設業許可」または「特定建設業許可」を取得しなければなりません。
一般建設業と特定建設業の違い
区分 | 概要 |
---|---|
一般建設業 | 元請・下請を問わず、軽微な工事または中小規模の工事を対象。 |
特定建設業 | 元請として、1件4,000万円以上の下請工事を発注する場合に必要。 |
一般的な中小企業や個人事業主は「一般建設業許可」からスタートするケースがほとんどです。
許可の種類(29業種)
建設業許可には以下のように29の業種が存在します。主なものを一部抜粋します。
- 土木一式工事
- 建築一式工事
- 大工工事業
- 左官工事業
- とび・土工・コンクリート工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- 内装仕上工事業
- 塗装工事業 など
1つの業種ごとに申請が必要となるため、自社の工事内容に合った業種を選定することが重要です。
建設業許可取得の流れ
建設業許可の申請から取得までは、通常1~2か月程度の期間がかかります。流れは以下の通りです。
1. 要件の確認
以下の5つの要件すべてを満たす必要があります。
- 経営業務の管理責任者(経管)の在籍
- 専任技術者の在籍
- 誠実性(欠格事由に該当しないこと)
- 財産的基礎(500万円以上の資産など)
- 欠格要件に該当しないこと(反社会的勢力等)
2. 必要書類の収集・作成
法人の登記簿謄本や納税証明書、個人の資格証明、役員の履歴書など、多岐にわたります。
3. 申請書の提出
申請先は以下のとおりです:
- 1都道府県内のみの営業 → 都道府県知事許可
- 2つ以上の都道府県で営業 → 国土交通大臣許可
4. 審査・補正対応
不備がある場合は補正が求められます。
行政書士が代理する場合は、窓口とのやり取りも代行可能です。
5. 許可証の交付
問題がなければ、申請から約30~45日で許可がおります。
よくある落とし穴・注意点
● 経営業務の管理責任者の要件不足
「代表者の経験だけでは足りない」「業種が異なる」などの理由で不許可になるケースがあります。
● 専任技術者の確認漏れ
該当資格や実務経験が不十分な場合、要件を満たせません。
早めのチェックが必須です。
● 財務状況の証明に不備
決算書だけでなく、預金残高証明なども必要です。
特に新設法人は注意が必要です。
● 提出書類の不備
申請書類はボリュームが多く、ミスが起きやすい部分です。
行政書士に依頼すれば、正確な書類作成とスムーズな補正対応が可能です。
行政書士に依頼するメリット
- 要件チェックの段階からサポート
- 複雑な書類の一括作成
- 補正対応・窓口対応まで任せられる
- 申請後の更新や業種追加も継続サポート
建設業許可の取得はゴールではなくスタートです。
許可後も毎年の決算報告や5年ごとの更新手続きが必要になるため、継続的なパートナーとして行政書士を活用するのがおすすめです。
まとめ
建設業許可を取得することで、500万円以上の工事を正式に請け負えるようになり、事業の信頼性・受注力が格段に向上します。
その反面、申請には多くの要件や書類があり、個人での対応には限界があります。
初めての申請でお困りの方や、効率よく確実に許可を取得したい方は、ぜひ行政書士にご相談ください。
次回は「飲食店営業許可申請」について詳しくご紹介します!