こんにちは。中野区のかとう行政書士事務所です。
前回は、年間採用計画の立て方について解説しました。
今回は、実際に募集を始めたあとに直面しやすい課題、「応募が来ない」問題を取り上げます。
■「応募がない=求人が悪い」ではない
中小企業の採用支援をしていると、必ずと言っていいほど耳にする声があります。
「求人を出したけど、応募が全然来ないんです…」
これはとてもよくある悩みですが、「うちには魅力がないから仕方ない」とあきらめる必要はありません。
多くの場合、ちょっとした視点のズレや、情報の出し方の工夫不足によって、求職者との接点が生まれていないだけなのです。
■ 応募が来ない時にチェックしたい5つのポイント
1. 求人原稿のタイトルとキャッチコピー
人材募集媒体では、まず「検索画面の一覧」から見られます。
その中で目を止めてもらえるかどうかは、“タイトルの第一印象”がカギです。
悪い例
- 「営業スタッフ募集」
- 「一般事務」
▶️ どの会社にもありそうで、特徴が伝わらない
良い例
- 「未経験OK!人柄採用の法人営業/飛び込みなし」
- 「週3×時短OK!30代子育て世代活躍中の事務職」
▶️ 「誰に向けた仕事か」「働く環境がイメージできるか」でクリック率が変わります。
2. 求人原稿の中身の“魅力設計”
仕事内容、条件、勤務時間だけを並べるのはNGです。
求職者は、「この会社で働くイメージが湧くか」を重視しています。
ポイントは3つの“見える化”:
- 働く人の顔が見える(写真・紹介)
- 1日のスケジュールが見える(タイムテーブル)
- 入社後のキャリアパスが見える(2年後どうなってる?)
特に、他社との違いを出すには、代表の想いやチームの雰囲気を言葉で伝えることが効果的です。
3. 募集条件が実態とズレていないか
例えば、「未経験OK」と書きながら、実際は業務難易度が高い、「時短可」と書いたのに、実際は社員の残業が多い…。このような“建前条件”があると、応募者が来てもミスマッチや早期離職につながります。
また、給与や休日などの記載も、相場や競合と比べて魅力があるかを必ず確認しましょう。
4. 媒体やチャネルの選定ミス
媒体選定も「とりあえず大手に出しておけばOK」ではなく、求める人材層に合わせたチャネル設計が必要です。
例:
- 主婦パート → 地域特化の求人アプリ、チラシ
- 20代若手 → SNS広告、Wantedly、Indeed
- 経験者・管理職 → 人材紹介やビズリーチなど
特に中小企業では、“広告費をかけるなら何に出すか”の見極めが重要です。
5. 応募ハードルが高くなっていないか
応募数に差が出るポイントは、「応募のしやすさ」です。
- 「履歴書・職務経歴書をPDFでメール添付」
- 「電話連絡後、郵送で書類提出」
- 「応募後3日以内に面接」など
これでは、応募前に気持ちが折れてしまいます。
📌 改善策:
- Web応募ボタンで完結するフォーム
- “まずは見学・相談だけでもOK”の表示
- 履歴書不要のエントリー制度
など、“ワンクッション下げる”ことが応募率アップにつながります。
■ 応募が来ない=改善のチャンス
応募がないのはつらい状況ですが、見方を変えれば、「何を直せば良いかが数字で明確に出ている」ということです。
どこを改善すれば反応が返ってくるのか。
求人は、一度出して終わりではなく、「反応を見ながら調整していくもの」です。
■ まとめ:応募を“呼び込む仕組み”を整えよう
採用において、「いい人が来ない」はよくある悩みですが、多くは求人設計や伝え方に小さな改善ポイントがあるだけです。
特に中小企業では、「待遇勝負」よりも「雰囲気や人間性、働きやすさ」の魅せ方で勝負が決まります。
まずは、自社の求人原稿や媒体を一度、客観的に読み直してみましょう。