はじめに:「自分には相続する人がいないから、遺言は不要」?
近年、増え続けている「おひとりさま」世帯。
未婚や離婚、子どもを持たない選択などにより、配偶者・子どもがいない人が生涯単身で人生を終えるケースが増えています。
すると、「遺言なんて自分には関係ない」と思われがちですが、実は、“ひとり”の人こそ遺言がないと、残された人に負担がかかる可能性があるのです。
この記事では、未婚・子なしの方にこそ考えていただきたい、「ひとり終活における遺言の役割」について解説します。
遺言がないとどうなる?「おひとりさま」の相続トラブル
① 相続人の範囲が広がり、手続きが複雑に
配偶者も子もいない場合、相続人は「親・兄弟姉妹・甥姪」などに広がります。
しかも──
- 兄弟姉妹が既に亡くなっていれば、代襲相続で甥姪まで関係者に
- 交流のない親族にも連絡・印鑑が必要
- 相続人が遠方・不在・音信不通な場合、手続きがストップすることも
📌 遺言がないと、財産の処理が進まず、預貯金の引き出し・不動産の処分も不可能に。
② 「誰に何を残すか」が曖昧になり、希望が実現しない
- 世話になった友人に少しでも残したかった
- 支援していたNPO法人に寄付したかった
- お世話になった介護スタッフにお礼を伝えたかった
でも、それらは遺言がなければ実現できません。
📌 法定相続人以外の人や団体には、遺言がない限り一切財産を渡すことができないのです。
③ 遺された人が「片付け役」を担うことに…
たとえば、あなたの家や預金、契約中のサブスク、ペットなど、
誰が引き継ぎ、誰が片付けるのか?
遺言がなければ明確になりません。
最終的に──
- 兄弟姉妹や甥姪が手続き負担を被る
- 遺品整理業者に任せきり
- 財産は最終的に国庫に帰属(国に没収)
こうした結果になるケースも少なくありません。
遺言があれば、あなたの「意思」がそのまま届く
では、遺言があれば何ができるのでしょうか?
✅ 財産の行き先を自由に指定できる
- 特定の友人や団体へ財産を渡す
- 遺族の中でも「よく面倒を見てくれた甥に渡したい」など配慮可能
- 飼っているペットの世話を託す人への報酬設定も可能
📌 法定相続人でない人に贈与するには、遺言が必須です。
✅ 葬儀や供養の方法、遺品整理の希望も残せる
遺言書とあわせてエンディングノートを用意しておくとより実用的です。
- 宗教や葬儀スタイルの希望(家族葬・無宗教など)
- 遺影や連絡してほしい人のリスト
- パスワード・ID・サブスクの処理方法
→ 遺された人がスムーズに片付けられるようになります。
✅ 信頼できる人を「遺言執行者」として指名できる
信頼できる友人、または司法書士・行政書士など専門家を遺言執行者に指定することで、財産の配分・契約解約・手続きの代行がスムーズに行えます。
📌「誰にも迷惑をかけたくない」という想いを叶えるためにも、信頼できる“最後のパートナー”選びが重要です。
書くべき人の特徴チェックリスト
以下の項目に当てはまる方は、遺言を強くおすすめします:
✅ 未婚で子どもがいない
✅ 兄弟姉妹・甥姪に関わりが薄い
✅ 特定の友人・団体に財産を贈りたい
✅ ペットを飼っている
✅ 認知症や病気が心配になってきた
✅ 自分が亡くなったあとの整理を誰かに頼みたい
まとめ:ひとりだからこそ、残せるものがある
「自分には遺言なんて関係ない」と思うのは、実は大きな誤解。
あなたの「最後の意思」がなければ、残された人たちは迷い、苦しみ、時には揉めることもあります。
✅ あなたの想いを「かたち」に残す
✅ 最後まで自分らしい人生を送る
✅ 残される人の負担を最小限にする
そのために、「遺言」はひとり終活の大切な仕上げとなるのです。