遺言で会社の未来も守れる?中小企業の事業承継にこそ必要な「遺言書」の活用術

目次

はじめに:社長がいなくなった後、会社はどうなる?

中小企業の経営者の皆様、
「自分にもしものことがあったら、会社はどうなるか?」
そんなことを、真剣に考えたことはありますか?

実は、日本の中小企業の多くで、
経営者の死亡後に相続トラブルが発生し、会社の存続が危ぶまれるケースがあります。

事業承継というと「生前の対策」が重視されますが、
実は“遺言”こそが最後のリスクヘッジになることをご存じでしょうか?

会社の株=財産、でも「分けられない財産」

経営者が亡くなると、個人が保有していた自社株式は相続財産となります。
このとき問題になるのが、「株は分けづらい財産」という点。

たとえば──

  • 長男は会社を継ぐつもりで仕事をしていた
  • 次男は別業種に就職しており、経営には関わっていない
  • しかし、自社株を法定相続分で分けたため、長男は過半数を持てなくなった
  • 結果、経営判断ができず、経営が麻痺・内紛へ…

こういった事態が、実際に多くの中小企業で起きるケースもあります。

遺言がないとどうなる?事業承継トラブルの典型例

① 相続人が複数いることで株式が分散

→ 決議ができず、取締役の選任や事業判断が停滞

② 相続争いで会社の資産まで売却リスク

→ 相続税の納税のため、保有株式や土地の売却を余儀なくされるケース

③ 後継者がスムーズに社長になれない

→ 後継者が役員でない、取締役に選ばれない、などの障壁に

📌 特に非上場企業の場合、株式の評価や売買が難しいため、
相続発生後に“争いながら経営”という最悪のケースに発展しがちです。

遺言があれば、何ができる?

遺言を使えば、以下のような形で会社と家族の未来を守る意思表示ができます。

✅ 株式の承継者を明確に指名できる

→「自社株式はすべて長男〇〇に相続させる」と明記すれば、分散を防げます。

✅ 不公平感を減らす代償分割が可能

→ 他の相続人には不動産や現金を遺すなど、バランスをとった配分が可能です。

✅ 遺言執行者を指定すればスムーズに執行される

→ 司法書士など専門家を執行者に指定しておけば、実務も円滑です。

✅ 将来の争いを回避できる

→ 遺言の中に「なぜこのように分けたか」というメッセージを残すことで、理解を促すことも可能です。

遺言の書き方・注意点(事業承継編)

● 遺言の方式は「公正証書遺言」がベスト

→ 形式の不備がなく、相続発生後もスムーズに執行できます。
→ 公証役場と証人が関与するため、争いを防ぐ抑止力にもなります。

● 自社株式の評価・相続税への配慮を

→ 会社の株には相続税が課税されます。
→ 事前に顧問税理士や専門家と相談し、納税資金の確保・非課税枠の活用を計画しておくことが大切です。

● 会社の定款・取締役会との整合性も確認

→ 定款に株式の譲渡制限がある場合、承認手続きが必要になることも。
→ 経営陣と連携して、スムーズな移行を準備しましょう。

遺言と事業承継、若いうちから考えるべき理由

経営者は「元気なうちに事業承継を準備しよう」と言われますが、
実際には「まだ早い」「元気だから大丈夫」と先延ばしにされがちです。

しかし──
不慮の事故や急な病で「突然不在」になる可能性もゼロではありません。

だからこそ、
“もしものときに備える”という意味でも、遺言は経営のリスク対策になるのです。

遺言は、会社を守り、社員と家族を守るための「経営者の最後の意思決定」。
「遺言=終活」ではなく、「遺言=経営戦略」と捉える視点がこれからは必要です。

まとめ:経営者の遺言は、事業の命綱になる

  • 自社株の分散を防ぎ、経営の安定を図る
  • 家族間の争いを回避し、遺族の生活を守る
  • 後継者への信頼と意思を明確にする

遺言は、経営者としての責任を最後まで果たすための“意思の継承ツール”です。
会社の未来のためにも、ぜひ今日から検討を始めてみてください。

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