遺言のおはなし:秘密証書遺言を詳しく!

みなさん、こんにちは。東京都中野区に事務所がある「かとう行政書士事務所」です。
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目次

秘密証書遺言とは?~内容を秘密にしたまま法的効力を得る方法~

「自分の遺言の内容は誰にも知られたくない」
「でも法的に有効な形で遺言を残したい」

そんな方にとって選択肢の一つとなるのが、秘密証書遺言(ひみつしょうしょいごん)です。
あまり知られていないこの遺言形式ですが、プライバシーを守りながら遺志を残せる仕組みでもあります。

今回は、この秘密証書遺言について詳しく解説するとともに、実際にはなぜあまり利用されていないのか、その理由も明らかにしていきます。

🔍 秘密証書遺言とは?

秘密証書遺言とは、遺言の内容を誰にも見せることなく、公証役場で「遺言の存在」と「作成者本人によるものであること」だけを証明してもらう方式の遺言です。

遺言書の中身は、公証人や証人ですら確認しません。
つまり、遺言の内容を絶対に秘密にしたい人にとっては唯一の制度といえます。

秘密証書遺言の主な特徴

特徴内容
内容の秘密性遺言者以外は誰も内容を知らない(公証人や証人にも非公開)
作成方法の自由度ワープロ・手書きどちらも可。自分で用意した紙を使える
封印して提出封筒に入れて封をし、そのまま公証役場で手続き
家庭裁判所の検認相続発生後に必要(公正証書遺言には不要)
原本の保管本人が保管するため、紛失や未発見リスクあり

📉 実はあまり利用されていない!?その理由とは

秘密証書遺言は、法律で認められた正式な方式であるにもかかわらず、実際の利用件数は非常に少ないのが現状です。

🔺 なぜ利用が少ないのか?主な理由は以下のとおりです:

1. 内容の法的チェックが一切行われない

封印されたまま提出するため、公証人は内容を確認できません。
つまり、法律的に無効な内容であっても、そのまま受け取られてしまうのです。
結果として、せっかく手続きしても無効になってしまうリスクが高いため、専門家はあまり推奨していません。

2. 保管リスクが高い

完成した秘密証書遺言は、本人が持ち帰り、自宅等で保管する必要があります。
紛失・焼失・盗難・誰にも発見されないなど、実行されないリスクがつきまといます。

3. 結局、家庭裁判所の検認が必要

公証役場で手続きをしても、相続開始後は家庭裁判所での「検認」手続きが必要です。
相続人の負担になるため、「だったら最初から公正証書遺言の方がいいのでは?」と判断されることが多いのです。

4. 手間の割に実務上のメリットが少ない

  • 自筆証書遺言より手間がかかる
  • 公正証書遺言ほどの安心感はない

つまり、中間的な選択肢であるがゆえに、明確なメリットを感じづらいという点も、利用が広がらない原因といえます。

📝 それでも秘密証書遺言を選ぶべき人とは?

このように利用が少ないとはいえ、以下のような方には向いています:

✅ 「どうしても内容を誰にも知られたくない」
✅ 「自分で自由にパソコンで書きたいが、公的な証明もほしい」
✅ 「財産や家族関係が複雑で、遺言の存在だけは残しておきたい」

秘密性を重視する方にとっては、唯一無二の選択肢でもあります。

まとめ:秘密証書遺言は“使い方を理解すれば価値ある制度”

秘密証書遺言は現在あまり利用されていませんが、それには明確な理由(チェックされない・保管が自己責任・検認が必要など)があります。

しかし、「誰にも内容を知られたくない」というニーズを満たせるのはこの方式だけ。
大切なのは、制度の特徴をよく理解し、適切な方法で補完(専門家のチェック・保管場所の明示など)することです。

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