遺言のおはなし:自筆証書遺言をもっと知る

みなさん、こんにちは。東京都中野区に事務所がある「かとう行政書士事務所」です。
相続や遺言を中心に、定期的に情報を発信しています。最後まで是非ご覧ください。

目次

自筆証書遺言をもっと知る:メリット・書き方・注意点まで徹底解説!

遺言にはいくつかの種類がありますが、最も手軽に始められるのが「自筆証書遺言」です。
しかし、手軽だからこそ、正しい知識を持たずに書いてしまうと無効になるリスクも。

今回は、「自筆証書遺言」についてより詳しくご紹介します。

🔵 自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、全文を遺言者自身の手で書く遺言書です。
他人の手を借りず、思い立ったときにすぐ作成できるため、広く利用されています。

自筆証書遺言のメリット

  1. 費用がかからない
     紙とペンがあればいつでも作成可能。公証役場などの費用も不要です。
  2. 自分のペースで作成・修正ができる
     誰にも相談せず、秘密裏に内容を決められます。気持ちが変わったら書き直しも自由。
  3. 保管方法が選べる
     法務局に預ける制度もあり、紛失や改ざんリスクを軽減できます。

⚠️ 自筆証書遺言のデメリット・注意点

  1. 形式を誤ると無効になる可能性がある
     法律上の要件が細かく、1つでも欠けると「無効」とされてしまいます。
  2. 発見されない・隠されるリスク
     家の中に保管しても、相続人がその存在を知らなければ使われないままに…。
  3. 内容にあいまいさがあるとトラブルの原因に
     「○○に多めに相続させる」など、抽象的な表現は解釈をめぐって争いの種になります。

✍️ 正しい自筆証書遺言の書き方(基本的な要件)

遺言が有効とされるためには、以下の5つがそろっている必要があります。

必須要件解説
全文を自筆で書く財産目録を除き、パソコンや代筆は不可。筆跡で本人確認が可能。
日付を明記する「令和7年3月24日」など、特定の日付を記載する。「〇月吉日」はNG。
氏名を書く通称や略称ではなく、正式な氏名を書く。
押印する実印でなくても良いが、印鑑の押印が必要(指印は避ける)。
財産目録は写しでもOK(2020年改正)預金通帳のコピーなども添付可能。ただし各ページに署名と押印が必要。

🧾 具体例:自筆証書遺言の文例

遺言書

遺言者 〇〇〇〇は、次のとおり遺言する。

第1条 遺言者は、遺言者所有の次の不動産を、遺言者の妻〇〇〇〇(昭和□□年□□月□□日生)に相続させる。
(1) 土地
所在    東京都中野区〇〇町□丁目
地番    □番
(2) 建物
所在    東京都中野区〇〇町□丁目□番地□□
家屋番号  □番

第2条 遺言者は、次の預貯金を、遺言者の長男〇〇〇〇(昭和□□年□□月□□日生)に相続させる。
(1) 〇〇〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号□□□□
(2) 〇〇〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号□□□□

第3条 遺言者は、遺言者の二男〇〇〇〇(昭和□□年□□月□□日生)に遺言者所有のすべての株式を相続させる。

第4条 遺言者は、金1千万円を遺言者の孫〇〇〇〇(長男〇〇〇〇の長男 平成□□年□□月□□日生)に遺贈する。

令和7年4月10日
東京都中野区〇〇町〇丁目〇番〇号
(署名)(押印)

※こちらの具体例はあくまで簡易的な遺言書の例です。

📁 保管方法について:法務局保管制度の活用を!

2020年7月からは、法務局での自筆証書遺言の保管制度がスタートしています。
この制度を利用することで、以下のようなメリットがあります。

遺言の紛失や改ざんの心配がない
家庭裁判所での「検認」が不要になる
相続人が検索できるようになり、発見されやすくなる

📌 保管手数料:1通あたり3,900円
📌 手続きに必要なもの:本人確認書類、遺言書(封をしていない状態)など

自筆証書遺言を安全に活かすために

  • 書いたら必ず保管場所と存在を信頼できる人に伝える
  • 内容が複雑な場合は専門家にチェックしてもらう
  • 数年に一度は見直しを行う(家族構成や財産状況の変化に対応)

「せっかく書いたのに使えなかった…」という事態を避けるためにも、形式の確認と適切な保管がとても大切です。

🔚 まとめ:まずは“1通書いてみる”ことから始めてみましょう

自筆証書遺言は、コストをかけずに始められる“最初の一歩”です。
正しい書き方と保管方法を押さえれば、十分に信頼できる遺言書となります。

「いつか書こう」ではなく、「今日、少しでも書いてみよう」。
それが、ご自身と大切なご家族を守る第一歩になります。

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